歯科医療費の総枠拡大を求める|葛飾区お花茶屋の歯科・インプラント|コージ歯科

歯科医療費の総枠拡大を求める

2024 年度診療報酬改定への保団連歯科談話:「歯科医療費の総枠拡大を求める」

 

2024 年度診療報酬改定答申に対して、全国保険医団体連合会(保団連)220日、歯科談話(歯科代表・宇佐美宏)を発表した。最終的には「医療療の質や医療機関の経営を守ることを正面に据えた診療報酬改定を歯科医療費の総枠拡大を求める」としたものであったが、基本姿勢は変わらず、今回改定の具体的な項目において懸念される点も散見されたが、予想通りの「CAD/CAM冠の適用拡大継続」や注目された賃上げに関する「療従事者への賃上げ対応について」に言及されていたが、具体的イメージが漠然としており、釈然としない点もあったが、将来を見据えた評価もあった。歯科界にインパクトを与える新規政策はゼロに近い中での内容でもあったが、保団連の基本認識は明示された。概要は以下の通り。

 

▲『6回連続実質マイナス改定、医療の質の向上や医院経営等の困難解消には程遠い』

厚労省は、昨年1220日に 2024年度の診療報酬改定率を決定した。医療従事者の賃上げ対応を含んで「診療報酬(本体)」を+0.88%としたが、「薬価等(薬価、材料価格)」は-1.00%として、全体で-0.12%と6回連続の実質マイナス改定となった。 「診療報酬(本体)」+0.88%から賃上げ対応分を除いた技術料引き上げ分は、わずか+0.18%となる。今回の賃上げ対応では、一般産業平均水準への改善に程遠いばかりか、地域医療を充実させる技術料引き上げ分も不十分であり、医療従事者の労働条件の改善、医療の充実を正面から捉えた改定とは到底言えない。各区分の改定率では、歯科は、賃上げ対応を含み+0.57%となった。明確な数値は示されていないが、賃上げ対応分を除くと技術料引き上げにあてられる改定率は、前回の+0.29%を下回ることが推定される。

新興感染症を含む感染対策やリハビリテーション・栄養管理・口腔管理の充実のための連携等をテーマとした改定がされているが、歯科における基本診療料の大幅引き上げ、基礎的な技術料の適正な評価は置き去りにされたままだ。低歯科診療報酬が長らく続いているが、技術料が適正に評価され、医院経営が安定することが重要である。コロナ禍の経験をふまえれば、より一層、平常時の経営安定の重要性が浮き彫りとなった。患者が望む医療を保険診療として提供でき、歯科医療機 関も保険診療で医院経営が十分成り立つ診療報酬体系の整備こそが、求められている。

 

▲『トラブル解決をなおざりにしたマイナ推進はやめるべき』

これまでマイナ保険証活用推進のため「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が運用されてきたが、オン資義務化を理由に「医療情報取得加算」に名称変更され、診療情報・薬剤情報の取得・活用を要件にした初・再診料への加算とされた。また、電子処方箋と電子カルテ情報共有サービスを導入し、医療DXに対応する体制を確保している場合の評価として、初診料への「医療DX推進体制整備加算」等が新設された。対応困難な医療機関を置き去りにし、終わらないトラブルの解決をなおざりにしたまま、医機関に多大な負担と推進の旗振り役を押し付ける政策はやめるべきである。診療情報等の取得・活用を要件とするのであれば、すでに活用されているお薬手帳などの場合も評価しないと辻褄が合わない。ただただマイナ保険証の活用を誘導する目的のような診療報酬での評価はするべきでない。

 

▲『療実態に応じた保険診療の充実を求める』

 今回改定で「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(か強診)は、小児歯科医療に係る要件強化等を行うことと合わせて名称変更された。これまで評価対象を「かかりつけ歯科医機能」としていたが、外来から在宅医療、小児から高齢者までを対象に、幅広く「口腔機能管理」に対応する機能を評価するものとして再構成された。

ここ10年来、厚労省が 「歯科治療の需要の将来予測」として「治療中心型(歯の形態の回復)」から「治療・管理・連携型(口腔機能の維持・回復)へのシフトを強調し、改定を行ってきた経過の延長線上にある歯科治療において、「形態回復」と「機能回復」は、対立する概念でなく、「機能回復」に点数評価を偏重させることは誤りである。また、この間では、施設基準などのハードルを設けて医療機関を点数評価上で差別化する改定が行われてきた。広く実施され、多くの医療機関が算定しうる点数項目の適正評価は、後回しにされてきた。これらを通じた医療機関間の格差も生じている。診療実態に応じた評価がされる改定が必要である。

 

▲『科技工や歯科矯正など、歯科固有の技術の適正な評価を求める』

歯科技工分野では、委託技工を通じて歯科医療機関と歯科技工所が協力して技工物の製 作・管理を行っているが、現行点数では不採算である。歯科医療機関と歯科技工所の経営がともに成り立つよう、チェアサイド・ラボサイドにおける適切な技術評価を求める。また、クラウン・ブリッジ維持管理料の算定対象が変更され、金属歯冠修復のすべてが 対象外とされた。

厚労省は、今回改定も含めて CAD/CAM冠の適用拡大を行っているが、 歯質保存の観点から削除量が多いこと、CAD/CAM 装置の設備投資が小規模の医療機関や歯科技工所で大きな負担となるとなど課題も残っている。ジルコニアなどの新規材料の 保険適用が求められる。歯科矯正分野では、患者が学校歯科検診で不正咬合を指摘され後の受診を想定して、今回改定で「歯科矯正相談料」が新設されたが、その後の矯正治療は概ね自費診療となってしまう。こうした課題は今後も取り残されたままである。

 

▲『選定療養の拡大はやめるべき

後発品のある保険外診療として患者に自己負担を求める内容が今年10月に実施されようとしている。保険外診療の拡大は、歯科において以前にあった金属材料の補綴の保険外しの動きを彷彿とさせる。医療機関の保険診療の継続を困難にし、患者に追加の自己負担を求めることで受診抑制を生じさせることにつながる「選定療養」の拡大はやめるべきである。

 

▲『療従事者への賃上げ対応については、十分かつ混乱の生じない施行を求める』

今回改定では、医療従事者の賃上げ対応として、「宅在ベースアップ評価料()(Ⅱ)」が新設された。まず、在宅ベースアップ評価料()」の算定により医療従事者の賃上げ分の経営資源を確保することを想定し、足りない場合(賃上げ率 1.2%アップが達成できない場合)は、その状況に応じて各種の「歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」を算定する仕組みとされた。評価料(Ⅰ)(Ⅱ)とも施設基準が設定され、届出時には、賃上げの計画や不足分の推計などを申告することが求められ、経過等の定期的な報告も求められる。詳細は示されていないが、煩雑な内容となり、医療機関が届出困難な状況とならない対応が必要である。

また、歯科においては、歯科技工所に勤務する歯科技工士の賃上げ対応として、一部の技工関連の技術料が引き上げられた。現時点では、引き上げ分をどのような方法で歯科技工所に保障するのか、歯科技工所において歯科技工士への賃上げを達成するのかの詳細が示されていない。従来、歯科技工所への委託技工に係る料金は、民間取引(保険診療外の取引)として厚労省は関与しない姿勢を貫いてきた。今回の賃上げ対応においては、制度 内容を達成する観点からは、その立ち位置を転換することが求められる。 今回の歯科医療機関に勤務する医療従事者、歯科技工所に勤務する歯科技工士への賃上げ対応については、厚労省が示した水準や方法、財源の確保が十分なものであったのか、 検証が必要だ。

 

▲『患者・国民、医療従事者のための診療報酬制度への改善を』

改定を取り巻く情勢として、マイナ保険証活用推進のために従来の保険証を廃止する動 き、少子化対策の財源捻出のために診療報酬・介護報酬をターゲットに歳出削減を行う動 きなど、患者・国民、医療従事者に多大な影響を与える施策が進められている。今回改定には、そうした施策推進の一環とされる内容が盛り込まれている。保団連は、政府が患者・ 国民医療従事者にとって不利益となる内容を政策の実現のために診療報酬改定を利用することに反対する。診療報酬制度の改善を通じて、何を達成するか、それは、患者がいつでも、どこでも、だれでもお金の心配なく必要な治療が受けられること、医療機関が保険診療の提供を安全・安心に継続できることである。 保団連は、これからも患者・国民が必要な医療を受けられる権利が実際に保障されるよう、診療報酬の改善を継続して求めていく。

貝塚 浩二 かいづか こうじ 歯学博士 葛飾区立石生まれ,摩耶幼稚園、葛飾小学校、立石中学、日大二高、岐阜歯科大学、お花茶屋で開業して39年ですその前は友歯会の箱根、横浜、青山診療所、身延の山内歯科医院(友歯会の理事長の実家]に5年勤務)していましたが、そのあとにダイビングショップアクアデルレイのスタッフで週末バイト約4年していました、その後、日大歯学部松戸生化学教室研究生、現在に去る。