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健保法改正研究会シンポ:指導・監査について「日弁連意見書」反映を今後に期待
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健保法改正研究会シンポ:指導・監査について「日弁連意見書」反映を今後に期待

 

9月3日、健保法改正研究会シンポジウムが、東京TKP東京駅カンファレンスセンターで開催された。今回は保険医に対する指導・監査、患者調査などについて健保法を議論した。健保法は制定されて101年が経緯するが、指導・監査について課題視された項目がある中で、日弁連は、「日弁連意見書」として発表していた。その後の改正を含めて興味深い指摘・監査と新たな課題を論じた。シンポジウムは二部構成で行われ、一部では、副代表である橋本岳衆院議員が「かかりつけ医、分娩費用の保険適応と改正保険法」「研究会としての取組」についてポイントを説明し、財務省の意図・裏事情なども解説した。

 

橋本副代表は「まず分娩費には地域格差があります。現在は、出産費用は医療機関が自由に決めることができます。政府としては、保険適用で経年的に高騰する費用負担を抑える意図があります。具体的には東京都内の公的病院の2021年度の平均の正常分娩費用は、約56万。出産育児一時金と同じ50万円に設定されれば、多くの医療機関が赤字になってしまう現実があります」。一方で橋本副代表は「病院・クリニックは、承知の通り人口減少からして経営にも厳しさがあるのも事実であり、結果として地域性の問題が顕在化しつつあります。保険適用による統一価格を評価する面もあるが、他の問題が生じてくる問題も視野に入れ検が必要」と問題の捉え方を示した。最後は、「財務省なりの理屈があるが、基本は予算削減で、財政のバランスと強調するが、まずは財政緊縮です」と明言していた。

 

二部では、「指導・監査における患者調査」など新たに提出された「日弁連意見書」を参考に関係者が説明を続けた。意見書では、7項目を示し担当弁護士がそれぞれ解説した。①選定理由の開示、②指導対象とする診療録の事前指定、➂弁護士の指導への立会権、④録音の権利性、⑤患者調査に対する配慮、⑥中断手続きの適正な運用について、⑦指導監査の機関の分理及び苦情申立手続きの確立。特に現実的には⑤について議論が交わされた。

 

意見書は「保険医への信用棄損を最小限とするよう配慮し、事実を的確に把握できる調査手続きをとり、調査結果を保険医等に提示するべき」としていたが、この患者調査の意味合の重さを共同代表の井上清成弁護士から事例を踏まえて説明があった。「患者調査はいつ、どのような話、方法などは知らないもの。というより知らせないで実施。既に患者自身も“何を話していいのか”“どこまでを話していいのか”とか素朴な感想を持ちますが、厚生局としては、指導監査の裏づけになる事実を取れればOKなのです。“患者調査”がある程度進んでから、患者から相談を受けてからですと、その対応には苦労します、しれは事実ですから、繰り返しますが“患者調査”は重要なのです」と強調していた。

 

今回の意見書の基本的視点は、「国民の適切な医療を受ける権利お擁護」が根底にあるが、具体的に「診療報酬明細が平均点数が高いと内容に問題がなくとも、個別指導の対象に繰り返し選定される」。さらには、「個別対象になると、不利益処分のおそれがある一方で、手続保障がなされていないこともあり、その選定にされないように、診療報酬明細の点数を抑える意識が働き、結果として患者・国民が本来受けられる、或いは受けるべき医療を受けられることがあり得る」と問題とする点を指摘した。

 

なお、保険医が適正な手続きで指導・監査を受けられる権利を保障するため、指導・監査の制度に精通し、経験を積んだ弁護士を養成するのが狙いの「保険医指導・監査対策協会」が創設した“対応認定弁護士制度”があるが、29人から32人に増員され、その理解が徐々に広まってきていると報告された。ただし、橋本賢二郎弁護士から「指導監査の問題は必ずしも容易でなく、ハードルは高いのは事実」と冷静な対応を求めていた。