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日本デジタル歯科学会「将来を見据え問題意識拡充」
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日本デジタル歯科学会:木本大会長「将来を見据え問題意識拡充」開催の意義強調

 

日本デジタル歯科学会が4月2324の両日、木本克彦神歯大教授大会長の下で神歯大で開催された。大会長講演、企画講演、シンポジウムなどが行われた。現実のデジタル技術の進歩を見据え、将来の歯科医療の展望などが各立場からされたが、まだ現在の臨床からは、想定し難い内容もあったが、既に始まっている現実でもあるようだ。木本大会長もオクネットのコメント取材に、「デジタル技術の進歩は著しく、日々変わっています。臨床家から重要視される経営的視点も理解できますが、大会の趣旨は、デジタル歯科の動向・将来展望から問題意識を有してほしい、ということです。ただ、そのスピードは予想より早く来ます」と強調していた。冒頭の大会長講演「本学おけるCAD/CAM研究の歩と歯科医療DX」が行われたが、要旨以下の通り。

 

2021年になると日本では、情報技術いわゆるIT分野を担当するデジタル庁が新たに発足したことを指摘。この社会背景について、「IT 分野で諸外国から遅れをとらないための大きな国策で、国・地方行政の IT 化や DX(デジタルトランスフォーメーション:IT の浸透が人々の生活全体に良い方向に変化させる)の推進を目的としているものでした」とした。一つの時代転換のスタートと理解しており、また、どの業界でもその影響・対応を多分に受けた。そうした中で、歯科医療におくる影響に言及。「IT 化やDXは着実に日常の歯科臨床へ浸透してきており、その中心 的な役割を果たしているのが CAD/CAM システム」とした。

補綴歯科分野に一石を投じた CAD/CAM であるが、その歴史を説明した。「技術を歯科医療に応用しようとする試みは、1970 年代に海外でスタートしており、CREC system のもととなるプロジェクトが立ち上がっている。 一方、日本においては、1984 年に本学の藤田・青木らが初めてタッチプローブと NC 加工機で CAD/ CAM システムの 可能性を示し、時を同じくして京都大学(堤定美)、大阪大学(木村博・荘村泰治ら)、鹿児島大学(川端義裕・長岡英一ら)も補綴装置製作のために CAD/CAM システムの開発研究に着手している」「昭和大学(宮﨑隆・堀田康弘ら)や北海道大学(内山洋一・疋田一洋ら)のグループは産学官連携で CAD/ CAM システムの実用化に至っている。わが国も CAD/CAM システムの開発研究に大きく貢献して いる」と当時の苦労・エピソードを交えてその歩みを振り返った。

 

現在は、そうした歴史・実績の経緯の上で、CAD/CAM システムは、海外製品を中心に臨床応用が着実に進んでいるという。その1つが CAD/CAM レジン冠の保険収載である。日本独自でもある国民皆保険制度が、国民に浸透している制度との関係についても触れた。「2014 年にはじめて小臼歯に対する CAD/CAM レジン冠が適用されると、2017 年には大臼歯、そして2020 年には前歯部まで適用範囲が拙速に拡大されている」とした上で、注目されている口腔内スキャナーの影響・意味について、「歯科医療DXの推進を強く後押しするであろう。日常臨床の中で、口腔内スキャナーが一般的に使用されるようになれば、補綴治療においては、支台歯形成と装着以下はすべてデジタル化されることになる」「さらにインプラント治療では、ダイナミックナビゲーションによる手術支援システムの臨床応用がスタートしており、それらのメリットは術者・患者の双方に知るところとなっている」とした。

 

 このようなことから、日本デジタル歯科の今後について「補綴・矯正・インプラントの各分野の携わる歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士の方々にも影響は必至であり、歯科医療DXへの問題意識を改めて深めてほしいし、相互の意見交換が必要である」と期待を寄せた。