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歯科工業界の牽引者の一人江上氏が逝去
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歯科工業界の牽引者の一人江上氏が逝去:続く訃報に歯科技工士に落胆

 

歯科技工士の世界(歯科技工界)は新年を迎えても厳しい時代が続いている。昨年、就任した奥野隆日技会長も自覚はしており、会務運営に対して、日技連盟会長・日技会長選挙の経緯から一部には不安視する声もあるが、「相互の信頼を築き、まさに焦らず適切に対応していきたい」と基本姿勢を示している。こうした歯科技工界に、技工所経営者・歯科技工士として多くのファンがいた江上勝二氏(愛歯技工専門学校卒・平成30年閉校)34日に逝去した。牽引者的存在であり、ポーセレン開発に大きく貢献し、世界のクワタと称された桑田正博氏、近代化ラボシステムを確立し歯科技工所経営の先端を行く()デンタルラボ横浜の設立者・斉藤隆司氏、桑田氏と双璧とされた世界を巡り回って活躍した山本眞氏、海外を拠点し独創的な技術の特許を取得していた田中朝見氏(テキサス大学歯学部臨床教授)、そして今回、江上氏が亡くなり、改めて歯科技工界に衝撃を与える形になった。

 

歯科技工界が今後の展望する場合、先達の貴重な歯科技工士としての歩みは忘れることはなく、大きな示唆を与えてくれたと、周囲の一致した意見であった中での訃報であった。江上氏と深い関係にあったとされる人に8日、オクネットが任意に電話取材をした。得られたコメントは以下の通りであった。

△「知りませんでしたショックです。海外の学術学会などでも一緒にさせたいただき、学会発表をした当時が思い出されます。二人は意気軒高の時でしたね。楽しかったです」(元日技役員・東京都)

△「山本氏、田中氏、桑田氏、斉藤氏と大御所が逝去が続いていたのですが、それでも、頑張るしかないと自分に言い聞かせていた矢先ですので、結構、落ち込みます。まだ、言葉はありません」(技工所経営:東京都)

△「そうですか・・・。また、尊敬する技工士が亡くなりました。こんな時期ですから、色々と意見を聞きたかったですね。でも技工界はどうなるのですかね」(元日技役員:愛知県)

△「私自身が下町ですので、実際にラボは近い所にありましたので、見学をしたり、意見交換をさせていただきました。最近は会ってませんでしたが、きさくな人柄もあり、長年の付き合いをしてましたので残念です」(元都技役員・東京都)

△「江上氏は、いつも穏やかで冗談を交え話されますが、いざという時の実行力と指導力

それこそ人間の器の大きな方でした」(技工所経営:東京都)。

以上のように惜しむ声が続いたが、生前の人柄、見識など改めて知ることになったが、歯科技工界の今後を懸念する声もあった。

 

現在も組織役員で重責を担っている歯科技工士だけでなく、広い交際範囲から補綴歯科分野の著名な歯科医師とも交流をしていた。歯科医師と歯科技工士の関係についても独自の見解を持っていたが、「歯科界が社会から評価を得られるよう努力が必要。ネガティブな話になりやすいが、前向きな話なくして前進はありません」と繰り返し述べていた。 

法律や制度等では日本歯科技工士会が、歯科技工士の社会的地位向上、職業・労働環境の改善、安定した技工所経営への整備などに対して活動している。一方、個々の歯科技工士は、自ら問題意識を持ちながら研修などに参加しているが、IT化が進む中で“CAD/CAМ”への対応、歯科技工の在り方、経営などを含め課題とされている。今後の大きな課題であるが、これらは歯科医師にも関係しており、歯科技工士・歯科技工としても問われることであり、改めて江上氏の意見・展望を期待したいところであった。

 

江上勝二氏  歯科技工士
          有限会社 ユアーズ・デンタル・ラボラトリー
          江東区富丘2-1-11
  技能功績の概要
    歯科技工の技能に優れ、良質な材料を使用し、耐久性と審美性を兼ね備えた
    補綴にこだわり、ポーセレンクラウン・ブリッジなどを製作・加工している。
    製作・加工に際しては診療室とのコミュニケーションを重視している。長年の
    経験と確かな技術から、難易度の高い審美補綴も迅速かつ正確に施工され
    、患者から高い評価を得ている。また、日々進歩している歯科医療現場において、
    大学・専門学校の講師を長年務めるなど後進の育成に尽力し、業界の発展に寄与している。