歯科医療提供を巡る|葛飾区お花茶屋の歯科・インプラント|コージ歯科

歯科医療提供を巡る

 東京都葛飾区のコージ歯科です、歯科医療提供を巡る” 中間答申“確認:“1.5次歯科診療所”等要件事項など

 

2040年を見据えた新歯科医療”提供を巡り、日本歯科医学会の諮問に対して、『新歯科医療提供検討委員会』(委員長: 立浪康晴、副委員長:佐藤真奈美、委員:石田義幸、伊東隆利、永山正人、三浦誠、宮田勝)が、答申するなどして話題になった。引き続いて「2040年を見据えた新歯科医療提供に関する答申書―多機能の歯科診療所いわゆる1.5次歯科医療機関(診療所)の役割とあるべき姿に関する提案―」について、委員会では、1.5次歯科医療機関(診療所)について以下の3事項について協議を行い、 ① 1.5 次歯科医療機関(診療所)について、具現化する手段の検討、②1.5 次歯科医療機関(診療所)について、モデルケースの構築、女性歯科医師と歯科専門医の活躍の場について、具現化する手段の検討。これまでの計4回開催された委員会での協議により得られた意見および提言、そして今後の予定協議事項について報告されていた(令和47)。そこでは、新たな歯科医療「1.5 次歯科医療機関(診療所)」が提示されていた。あくまで中間答申としているが、臨床家には注目の内容であり関心のある、特に①、②について改めて紹介しておく。

 

(1)2040年を見据えた新歯科医療の提供に必要な事項

〇訪問歯科診療を担う人材と実施可能な歯科診療所の確保。

〇有病者に対する全身管理および補綴の難症例等をある程度のレベルで診ることが可能な人材の育成と確保。

〇 国民のニーズとしての歯科医療の質を含めた高い技術、新しい技術への対応および安全・ 安心な歯科医療提供の環境整備。

〇専門医の活躍の場の確保および専門医取得の環境整備。

〇将来起こり得る歯科医師不足に対する対策の一つとして、今後増加する女性歯科医師の活用と雇用環境の整備。すなわち、女性歯科医師のワークライフバランスを考えた職場環境 の構築。

〇今後増加することが予測される勤務医を雇用できる歯科診療所の確保。

 

(2)1.5次歯科診療所に求められる役割および施設として具備すべき事項(答申より抜粋) 答申では、1.5次歯科診療所のあるべき姿を以下のように定義して、該当すると考えられる歯科医療機関に対してアンケート調査を行った。回答のあった23施設のアンケート結果から、1.5 次歯科診療所が具備すべき要件を抽出し列挙する。 1.5次歯科診療所とは、1次歯科医療機関と2次歯科医療機関との間に位置づけ られる。口腔外科をはじめとし、歯科の専門的治療(日本歯科医学会の基幹学会の専門医が一人以上いる)ができる体制を整え、複数の歯科医師が治療に従事している歯科診療所を想定したもので、多機能型歯科診療所をイメージしている。

 

〇地域の歯科診療所から急患で紹介される場合に備え、余裕のある診療台数が必要である。  (平均17.1台:742台)。

〇口腔外科手術、歯周外科手術、障害者歯科治療のために、笑気吸入鎮静法、静脈内鎮静法、全身麻酔などが実施可能である。

〇静脈内鎮静法が実施できる設備と診療体制は不可欠である。

〇全身麻酔あるいは静脈内鎮静法を行うために、リカバリーベッドを有している必要があ る。

〇歯科麻酔専門医あるいは口腔外科専門医などの確保が不可欠となる。

〇障害者の受入れを前提とした設備や歯科医師の配置が必要である。

〇在宅歯科支援歯科診療所1または2の施設基準を満たして、地域の歯科診療所からの患者紹介に対応可能な体制を整備しておく必要がある。

〇難易度の高い在宅歯科診療が想定され、ポータブルユニットや訪問診療車は必須である。 〇女性歯科医師の活用が求められるため、託児施設の整備が必要である。

〇精度の高い治療のために、マイクロスコープやレーザー、CTが必須である。

〇院内技工が可能であることが望ましい。

〇時間外対応、夜間対応、当直体制、オンコール体制などによる救急体制は地域歯科医療

を支援する上で必要である。

〇同時に出産育児支援施策を講じている。 ・ワークシェア、時短勤務、短時間正規雇用職員、所定時間外労働の免除。 ・子育て支援手当、職場復帰カリキュラムの作成、病児保育補助等。

〇専門医取得支援制度(体制)が整っている。

〇勤務医、研修医、歯科衛生士等の従業員に対するスキルアップ体制が整えられている。

 

 

2040年を見据えた新歯科医療を提供するために、具体的に示された要件が上述した事項であり、これを満たす歯科医療機関が「1.5次歯科診療所」として望ましいと考えられる。しかしながら、現実的には難しい。「1.5次歯科医療機関」を3カテゴリーに分け、それぞれが役割を分担・補完しあうことで、その求められる役割を担うことが可能になると考えられる。 以下がその概要であり、具体的な医療機関も示されている。

 

 (1)カテゴリーA:歯科診療所(有床)、歯科病院答申の資料となったアンケート調査において2 次歯科医療機関と位置付けられていた。同調査結果では、看護師、薬剤師、歯科技工士等の多職種が連携し、訪問歯科診療を多く実施 (平均551 /月)し、当直などの救急体制を敷いている等の特徴を有していた。さらに、 全身麻酔や静脈内鎮静法が実施可能で、障害者の受け入れ体制を確保し、5 名以上の歯科医師・広告可能な歯科専門医が複数名在籍している医療機関であった。 具体的診療所⇒日之出歯科真駒内診療所(北海道札幌市)・伊東歯科口腔病院(熊本県熊本市)

 

(2)カテゴリーB:歯科診療所(無床) 複数の歯科医師が診療に従事するという1.5次歯科診療所の根幹をなすカテゴリーである。専門性の高い症例についてかかりつけ歯科診療所を支援するとともに、女性歯科医師のワークライフバランスを考慮した雇用環境が整備されていることも強く望まれる。有床歯科6施設は20施設(2019 年現在)しかないため、地域によっては訪問歯科診療、全身麻酔や静脈内鎮静法を併用した歯科診療の提供といった、カテゴリーAに望まれる機能を有している必要がある。具体的診療所⇒たちなみ歯科口腔外科クリニック(富山県射水市)・ひまわり歯科(広島県安芸郡)

 

 

 (3)カテゴリーC:口腔(歯科)保健センター 都道府県および郡市区歯科医師会または自治体等で運営されており、全国各地域に設置さ れている(約356施設)。行政と連携して夜間休日の急患対応、障害者歯科診療、訪問歯科 診療等を実践し、すでに多機能を有している施設がある一方で、非常勤歯科医師による輪番制により診療を行なっている施設も存在する。加えて、障害者歯科診療および訪問歯科診療を行っている施設がそれぞれ41.4%147 施設)、18.6%(66 施設)であるのが現状である。今後、地域歯科医師会の協力による機能の拡充、行政による介入も視野に入れた整備が期待さ れる。具体的診療所⇒仙台歯科医師会在宅・障害者・休日夜間診療(宮城県仙台市)・横浜市歯科医療保健センター(神川県横浜市)。