歯の噛み合わせによる心臓負担について!|葛飾区お花茶屋の歯科・インプラント|コージ歯科

歯の噛み合わせによる心臓負担について!
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 歯科が有する最大のポイントともいえるのが健全な口腔機能の発育・維持である。この領域は、日本歯科補綴学会の研究課題として継続している。ブリッジ、総義歯、部分床義歯、インプラント等が時代の変遷と同時に新しい技術を含め紹介されてきた。大学関係者間でも競って研究発表・報告をしてきた。咬合については、その様式、形態、運動などの研究成果は、臨床歯科に貢献してきた。将来への可能性として、CAD/CAMの応用拡大、ITの活用のデータ蓄積などが問われている。

以上の経緯の中、日刊ゲンダイ(86)にて、上皇執刀医である天野篤順大医学部特任教授が、興味深い指摘をしていた。「“咬合と心臓負担の研究・課題”の研究の必要性」というものであった。心臓負担という領域が関与してくると、歯科だけでは、研究は難しい面があるが、だからこそ、“医科歯科連携”による研究の期待が寄せられてくる。こうした時期に来ていることを促されているとの理解も必要である。天野特任教授の指摘は概略次の通りである。

 冒頭、“噛む力=咬合力が弱い人が心臓疾患になりやすい”という研究報告があること紹介した。国立循環器病研究センター、新潟大学、大阪大学の共同研究チームが、大阪府吹田市民を対象としたコホート研究を解析したもので、5079歳の一般住民のうち歯科検診を受診した1,547人の追跡であり、「最大咬合力が低い人は、高い対象者に比較して循環器病疾患の新規発症リスクが最大5倍も高いことがわかった」とした。「しかし、なぜ、噛む力が弱くなると心臓疾患を発症しやすくなるのかについては、まだハッキリしたしたことはわかっていない」と明言。一方で「“しっかり噛む”という動作そのものが、心臓に影響を与えていることが考えられる」との認識を示していた。歯科界でも一般に表現される“しっかり噛む”ことの理解について、補綴領域での視点の研究とは異なり、“心臓疾患との関係”を追求している点に、今後の研究にさらなる期待が寄せられ、さらなる歯科の研究関与を求めているようでもあった。

 さらに天野特任教授は、神経系統の視点からも進めている。食事をする行為のポイント“噛む動作”について説明していく。「呼吸、血管循環、体温調節、消化、排泄など生命維持に不可欠な機能は、自律神経がコントロールしている。それは、副交換神経・交換神経のバランスで成り立っている」とまず、自律神経の本来の機能について説明した上で、そこで、“噛む動作”との関連・影響に言及していた。

「交換神経が優位な状態では、アドレナリンが分泌され心拍数増加、血管収縮による血圧上昇、心臓の負担が増えて、動脈硬化が促進される。反対に副交感神経が優位になると、心拍数が抑制され、血圧低下、心臓の負担が減ります。“しっかり噛む”ことができる人は、副交感神経が優位になり、心臓、血管へのダメージを減らせると考えれられる」とした。

昨今の歯科からの研究発表でも、食事・栄養など生活に身近な視点からの発表も目立つようになってき来ている。“軟食化の傾向”があり、この影響も看過できないという指摘がされている。また、噛む力は、歯数とも関係もあるとして、歯数が多い人は、認知症・転倒のリスクは低いことがわかってきている。「こうした理論に対して科学的な裏付けが揃ってくれば、心臓疾患の予防や治療に大いに役立つでしょう」とさらなる研究の必要性を促していた。具体的な研究として、「噛む力が強い人・弱い人それぞれのバイオマーカーを測定。噛む力に応じて、咀嚼スピード、作業効率、食事量、食事内容にどのような変化があり、心臓に対しての影響をデータとして蓄積。この積み重ねから、得られた知見が適切な医療に繋がっていきます」と強調した。

最後には、「“噛む力”や歯と心臓の関係について、さらなる研究に期待しています」としていた。