誤嚥性肺炎の介護施設での実践|お花茶屋の歯科・インプラント|コージ歯科

誤嚥性肺炎の介護施設での実践

葛飾区お花茶屋のコージ歯科、貝塚 浩二です,

不顕性誤嚥と口腔ケア

嚥下(えんげ)反射・咳反射の低下した老人の場合、睡眠中には約70%の方に「不顕性の誤嚥」がみられ、この不顕性誤嚥を繰り返すうちに肺炎を起こしてしまうという誤嚥性肺炎が多いため、老人性肺炎予防の日常的なケアとして「十分な口腔ケア」が大切です。

 

週刊新潮(714)の見出しで目に付いた『「誤嚥性肺炎ゼロ実現をしたプロの口腔ケア」。クローズアップされたのは、歯科衛生士の精田紀代美氏で、4ページを割いて記事にしている。介護施設10カ所で誤嚥性肺炎ゼロを達成したことで、“誤嚥肺予防のプロ”と称されるようになったという。その口腔ケアの実践・有効性を現場からの取材で報告している。「高齢者は“歯”より“舌”が命」「“きんさん・ぎんさん”は誤嚥性肺炎を起こさなかったのか」「“歯ブラシ”はNG“舌そうじは法”には最適な道具とベストタイミング」として読者に訴えている。

精田氏は、「そもそも誤嚥性肺炎が、歯が汚いせいでなるのであれば、歯がない高齢者が誤嚥性肺炎になるには説明がつかない」とささやかな疑問から、さらに「誤嚥性肺炎の予防のポイントは舌にあるのではないか。誤嚥性肺炎の元になる歯周病菌は歯でなく舌の方に留まっているのではないか」と考え、口腔ケア指導を受け持った10カ所の介護施設に、舌の指導を開始して一ヶ月後に訪問したら、まず、施設の悪臭が消失していたという。そうした上で、具体的な“舌そうじ”を説明(紙面の都合で省略)

ポイントの“舌そうじ”のタイミングについては、次のように説明している。「人の口腔内が最も汚れているのは、どの時間帯なのか。朝一番のタイミングです。なぜなら寝ている間に口腔内の細菌が増殖するからで、起床後、口が臭くなっているのはこのせいです」と説明する。結論として、「朝食後に舌そうじをしても効果は薄れてしまいます。朝食後に歯磨き・舌そうじをすることは、エチケットとして意味があるが健康の面では、本末転倒なのです」と自身の経験から述べている。一時期全国的に有名人になった“きんさん・ぎんさん”の例をその背景を含めて言及。「明治生まれの“きんさん・ぎんさん”は、起床してから、舌そうじをして、顔を洗って身を浄めた身体で作った料理を仏壇にお供えをして朝食を取っていようです」と生活をしていたことを紹介。戦後はGHQによって“朝食後の歯磨き”が根付いたとされている。改めて精田氏は「まさに現代の誤嚥性肺炎予防の観点から理に適っている“朝食前の浄め”という先人の知恵には恐れるばかりだ」と再認識を吐露している。

二次的な健康効果もあるとして、さらに言及して理解を求めていた。「舌をキレイに保つことで、味覚感覚も研ぎ澄まされ、薄い味付けでも美味しく感じるようになるし、塩分の取り過ぎや糖質過多が防げることで、高血圧、糖尿病予防に効果がある。さらに口臭の消失で、施設のスタッフの意欲が確保され、入試著者の健康に貢献するなど施設として好循環を招いている」という。

以前から指摘されてきた、舌の機能と清潔保持であるが、高齢者・施設入所の増加などに伴う時代の趨勢もあり、口腔環境の重要性が歯科病院や介護施設から指摘されるようになってきたのは事実。精田氏のように専門家である歯科衛生士からの報告も続いている。精田氏はそのパイオニア的存在であるが、オクネットの電話取材には、「介護スタッフが作業しやすくするため口腔ケアの方法を検討。いきなり歯の清掃は難しいので、まずは舌でしたが、さらに義歯、そして歯と進めてきたことも有効であったと思います」とコメント。数日後には、「週刊新潮の内科医の読者から、関東褥瘡学会の特別講演の依頼がありました」と報告があった。こうした歯科衛生士の今後の可能性を含み、口腔ケアの重要性が、今回の介護施設での事例からも理解・浸透されることが期待される。

【精田紀代美氏のプロフィール】歯科衛生士。富山県保健所、同県厚生部健康課勤務を経て、2001年に「歯科衛生士事務所ピュアとやまを設立。2015年には、北陸公衆衛学会で“富山型誤嚥性肺炎入院0人達成のための3つの口腔技法を発表。