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厚労省歯科関連人事 “骨太方針2021”
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厚労省歯科関連人事:小椋歯科保健課長・宮原歯科医療管理等に期待と課題オクネットニュースから

 

厚労省は7月に省内人事を行い、新たな体制で厚労業務を遂行していくことになった。改めて、歯科関係の主な異動人事(82日時点)は以下の通り。小椋正之・医政局歯科保健課長、小嶺祐子・同歯科口腔保健推進室長、宮原勇治・保険局歯科医療管理官。昨年来の新型コロナウイルス感染症拡防止対策実施している最中での異動人事であり、今後の新たな対応を求められることは十分考えられる。歯科界の短期・中期を見据えた新たな展開の方向性をより明確に求めてられて行くことになる。それを踏まえて、現実的には、2022年度新療報酬改定作業が控えており、その基本姿勢にもなるのが、“骨太方針2021”であるが、概要は次の通り。

「全身との関連性を含む口腔の健康の重要性に係るエビデンスの国民への適切な情報提供、生涯を通じた切れ目のない歯科健診、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防にもつながる歯科医師、歯科衛生士による歯科口腔保健の充実、歯科医療専門職間、医科歯科、介護、障害福祉機関等との連携を推進し、歯科衛生士・歯科技工士の人材確保、飛沫感染等の防止を含め歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。今後、要介護高齢者等の受診困難者の増加を視野に入れた歯科におけるICTの活用を推進する」。

具体的には、“かかりつけ歯科医の拡充”、“地域包括ケアシステムの構築”などが主とした政策の柱になるが、さらに言及すれば、地域での高齢者対応・医科歯科連携があるが、厚労省としての力量も問われてくる。他の関係部局と日歯との関係が注目される。

82日、歯科保健課長を務めた田口円裕氏(長崎大学歯学部卒)に電話取材したが、「自分で想定していた課長期間より長くなったことは事実。社会事情・省内事情もあるので止むを得ないと思っていますが、一応、一つの区切りをつけました、暫くは休養します」とコメント。責務を果たした安堵感と同時に、歯科界への今後にも関心を寄せる思いを示唆していた。時期は不明だが、新たなステージでの活躍を期待する声もあった。課長としての評価は、関係者の立場によるが、“課長”職としての権限を有する立場でも、他の関係部署との連携・妥協が必要があるのが、意外に大きいとされている。ちなみに、歯科保健課長を退官した鳥山佳則氏は東歯大短期大学学長(阪大歯学部卒)、日高勝美氏は九州歯科大学教授(九大歯学部卒)に就いている。

厚労省歯科関係部局でも、国公立問わず、必要とされる人材の採用・育成も益々問われてくる。“前例方式”に倣う従来型から新しい視点の議論も必要とされる。日歯が昨年提示した「2040年を見据えた歯科ビジョン」も念頭に入れての政策構築が必要になる。

古屋議員“国民皆歯科健診実現議連”設立:歯科界に波紋&事務局長に山田議員

 
 
616日、古屋圭司衆院議員(自民党)が会長を務める「国民皆歯科健診で健やかな人生100年時代を実現する議員連盟」(略:国民皆歯科健診実現議連)の設立総会が開催された。最高顧問には安倍晋三前総理、伊吹文明元議長、尾辻秀久元副議長が就任した。歯科関係者からすれば、古屋議員の専門分野からすると、歯科関係の議連の会長には、意外感は否定できないのが正直な感想であるが、困惑しつつも、歯科界には期待したい政策・勉強会であることは間違いない。報道によれば、関心の高さを象徴してか、100名以上の国会議員が出席したという。
 
 
 
「骨太方針2019」では、「口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者を始めとする国民に対する口腔機能管理の推進など歯科口腔保健の充実や地域における医科歯科連携の構築など歯科保健医療の充実に取り組む」と“歯科健診の充実”と明記されていたが、具体的な政策になると、特別に新たな事業・研修などが見えなかったのは事実。臨床現場でも「日々の診療を通して、患者に理解されるよう努めること、と理解してます」としていたようだ。また、昨今の研究報告などから、歯周病を含めて歯科疾患が糖尿病・認知症等の全身疾患と密接に関連しており、定期健診によりこれらの疾患を未然に防ぐこととなり、医学的・科学的に健康寿命を延伸し、さらには、国民医療費の適正化につながることの報告が続いていることも、設立を促したことは間違いなそうだ。
 
 
 
618日、議員会館にて古屋議員事務所で概略内容を確認した。梶田誉譲秘書が対応したが、「当日、配布した資料は、設立趣旨、概要、決定役員などの紹介だけで、詳細な点はこれからだと理解しています。なお、議連としてまとめ役にもなる事務局長は、山田宏参院議員が就任です。山田議員は区長の経験もあるので適任だと思っています。これでスタートに着いたことになります。いずれにしても、これからです」と設立にあたりコメントしていた。2016年の参院議員選挙に全国の地方歯科医師会の推薦候補として出馬した際、「歯科については、まさに“歯の健康が全身の健康につながる”ものです。地元の杉並区歯科医師会との理解・協力を得ていくつかの政策をしてきました。今度は、こうした杉並区長時代の経験を国政の場で生かしていきたい」と語っていた。健康長寿延伸のための“健康が全身の健康につながる”との考えからの実践し、着実な成果を出すことができた。病気になったとしても重症化を防止し、治療日数を減らすという予防医療を重視していくことが大切」と主張していた。歯科健診、健康、医療費削減などの効果が実践で経験・結果を出してきたことが背景にあるようだ。山田議員の政治家としてのスローガンになっている“政治は結果”。歯科界として、その実行力と情報発信力を有する山田候補(当時)に期待を寄せていた。
 
 
 
5年前の社会環境と大きな違いは、昨年来の新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの発生は、各専門家からも“時代刷新”する契機になる事態と見られている。歯科界も日歯、日歯連盟、日歯学会、日学歯などの連携は当然であるが、歯科医師が有する問題意識が社会・地域保健からの視点が求められてきている。“スマホ時代”と称される現代における骨太方針2021には、ICTの活用も明記され、歯科健診の在り方、評価・課題など含めての議論が期待される。歯科業界としては、以前から健診も重要・不可欠と指摘されていたが、時代が後押しする時代背景もあることも実感させられている。
 
 
 
“地域包括ケア”の拡充が厚労省の政策目標に位置づけている。緊急・訪問診療でも困惑することなく、病診・医科歯科連携しての医療提供が可能な地域にしていくとし、当然ながら“かかりつけ医”機能の拡充は、政策の柱になっている。歯科では、“かかりつけ歯科医”の充実になるが、身近な理解しやすい政策である。
 
今後は、本議連の活動に注目・期待される。“議連の設立”の意味は多々あるが、スタートしたからには、関係団体の理解・協力は必要であり、同時に“国民の健康”に寄与することが、大義名分が掲げられる。山田事務局長の意が反映されると目されるが、歯科界としても、その成果・結果を普及し社会に貢献することの責務を背負わされているが、結果として歯科界の社会的評価なると見られている。
 
 
 
<山田宏議員プロフィール昭和33:東京生まれ、昭和51:都立国立高校卒業、昭和:56年:京大法学部卒・松下政経塾入塾(2期生)、昭和60年:都議会議員2期、平成5年:衆院議員(1期)、平成11年:杉並区長(3期)、平成24年:衆院議員(2期)、平成28年:参議院議員(1)
 
●“骨太方針2021概要公開:新たな文言は「受診困難者を視野にICTの活用」
 
 
 
令和3年第8回経済財政諮問会議が69日、総理大臣官邸で開催されていた。そこで提出された資料を基に意見・議論が交わされたが、このほどその概要、いわゆる“骨太方針2021”として公表された。まず、第1章:「新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会のビジョン」を置いたことから、政府の重要性の項目の意味が見えている。そこで、特に歯科に関係する文言に注目されたが、第3章:感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革」から、社保障改革の項目“団塊の世代の後期高齢者入りを見据えた基盤強化・全世代型社会保障”の中で、次のように明記された。
 
「全身との関連性を含む口腔の健康の重要性に係る国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診、オーラルフレイル対策・重症化予防にもつながる歯科医師、歯科衛生士による歯科口腔保健の充実、歯科医療専門職間、医科歯科、介護、障害福祉機関等との連携を推進し、飛沫感染等の防止を含め歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。今後、要介護高齢者等の受診困難者の増加を視野に入れた歯科におけるICTの活用を推進する」。
 
文言について遡れば、「骨太方針2019」では、「口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者を始めとする国民に対する口腔機能管理の推進など歯科口腔保健の充実や地域における医科歯科連携の構築など歯科保健医療の充実に取り組む」「病院・診療所の機能分化・機能連携等を推進しつつ、かかりつけ機能の在り方を踏まえながら、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の普及を進める」と明記。
 
「骨太方針2020」は、「感染症の予防という観点も含め、口腔の健康が全身の健康にもつながるエビデンスの国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診、フレイル対策・重症化予防にもつながる歯科口腔保健の充実、歯科医療専門職間、医科歯科、介護等関係者との連携を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む」と記された。
 
 以上の文言からは、基本は、歯科保健医療提供体制の充実・強化。さらに、それぞれ、かかりつけ歯科医の普及” フレイル対策・重症化予防であった。今年は、飛沫感染防止・ICT活用といえそうだ。やはり、昨年来の新型コロナウイルス感染症拡大対策の施策を反映したといえそうだ。昨年も、感染予防を念頭にした歯科健診や臨床の課題と指摘もあった介護等関係者との連携を指摘していた
 
 「骨太方針」での文言明記は、かつては、歯科はなかったが、安倍晋三首相(当時)と太い関係を有する山田宏参院議員が歯系議員となってから、明記され山田議員の存在感は関係者からは認知されるようになった。歯科内外に歯科の重要性・啓発を文章で訴える有益な資料になっている。社会からすれば当然だが、財界・経済界などさらには、労働界に対しての啓発活動の有益性はあるという。一部では「政府として重要視する言語に懸念もあるのは事実。新規の言葉には限界があり、どうしても、そこは医科とは違うという理解はしている」(元都歯役員)、「今までの周知徹底になるのが、本当は基本かもしれない。毎年、新しい文言を取り上げるという方法にも限界があるいかも」(日歯代議員・関東地区)の意見も聞けた。なお、扱いは不明だが、528日には、日歯連盟顧問の山田宏参院議員が官邸に赴き、菅総理大臣に“歯科保健医療に関する提言書を渡したとされている。
 
 
経済財政諮問会議メンバー議長:菅義偉・内閣総理大臣、麻生太郎・副総理兼財務大臣、加藤勝信・内閣官房長官、西村稔康・内閣府特命大臣兼経済再生担当大臣、梶山弘志・経済産業大臣、武田良太・総務大臣、黒田東彦・日本銀行総裁、竹森俊平・三菱UFJリサーチ&コンサルティング()理事長、十倉雅和・住友化学()代表取締役社長、新浪剛史・サントリーホールディング()代表取締役社長、柳川範之・東大大学院経済学研究科教授。