6月1日から、診療報酬が改定

6月1日から、診療報酬が改定 皆さんは診療報酬という仕組みをご存じでしょうか。これは、医療機関で受ける治療や検査、一つひとつの保険での値段を国が決めるルールのことです 。歯科は2年に一度見直され、次は2026年(令和8年)6月1日から、診療報酬が改定されます。   昨今の物価高騰に伴って、値上げなのかと不安に思う方もいるかもしれませんが、実は窓口で支払う金額の変化はごくわずかです。それよりも大きいのは、保険で受けられる治療の幅が広がり、質が上がるという変化の方です。     今回は、6月からの改定によって具体的に何が変わるのか、デジタル技術や予防メンテナンスに焦点を当てて、分かりやすく解説します。 そもそも診療報酬とは                                                              病院や歯科医院で保険証を使って受ける治療には、一つひとつに点数が決められています。たとえば初診は何点、レントゲンは何点、といった具合です。1点は10円で計算され、そのうち患者さんが窓口で支払うのは、年齢や所得に応じた1〜3割になります。   この点数を2年ごとに見直すのが、今回のテーマである診療報酬改定です。物価の変動や医療技術の進歩、社会の変化などを踏まえて議論されたうえで決定されます。   通常の診療報酬の改定は4月なのですが、今回の改定は6月からのスタートです。これは薬価の改定を4月に先行させ、治療に関するルール変更の準備期間を十分にとるためです。歯科医院側も新しいルールへの対応を整えた状態で6月を迎えるため、安心できるスケジュールといえます。 保険で受けられるデジタル治療が広がります 今回の改定で患者さんにとって嬉しい変化が、歯科業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の本格的な保険導入です。  主な変更点は「物価・賃上げ対応」「口腔機能の管理・予防重視」「保険で白い被せ物(CAD/CAM冠)の適応拡大」の3本柱です。[1, 2, 3, 4]主な変更点の詳細は以下の通りです。1. 初診料・再診料などの見直し(物価・賃上げ対応) 物価高騰やスタッフの賃上げ(ベースアップ)を支援するため、初診料・再診料などの基本点数が引き上げられます。 新たに「歯科外来物価対応料」が新設されます。[1, 2, 3] 2. 予防・口腔機能管理の充実 歯周病治療の統合・再編:従来の「歯周病安定期治療(SPT)」と「歯周病重症化予防治療」が「歯周病継続支援治療」に統合・再編されました。 口腔機能の管理:虫歯や歯周病の治療だけでなく、お口の機能を維持・向上させる指導や検査(口腔機能発達不全症や口腔機能低下症など)への評価がより細かく見直されています。 訪問歯科の評価見直し:高齢者や通院が困難な方向けの在宅歯科医療について、より質の高い施設への評価や、指導料等の体系が見直されました。[1, 2, 3, 4] 3. 保険適用の素材拡充(CAD/CAM冠の適応拡大) これまで条件があった大臼歯(奥歯)のCAD/CAM冠について、咬合支持(噛み合わせ)の条件が撤廃され、すべての大臼歯で使用できるようになりました。[1, 2] 窓口でのお支払い額は保険の負担割合(1〜3割)に応じて数十円〜百円程度変わる場合があります。詳しい自己負担額や、ご自身の治療が適応になるかについては、受付もしくわスタッフへご相談ください。  また、今回の改定では、歯科治療のデジタル化に関する内容も含まれています。口腔内スキャナーを用いた光学印象についても見直しが行われ、CAD/CAM冠やCAD/CAMインレーなどの治療において、デジタル技術を活用しやすい方向へ制度が整えられています。 従来の型取りでは、粘土のような材料をお口の中に入れて歯型を取る方法が一般的でした。一方で、口腔内スキャナーを使用すると、歯の形をデジタルデータとして読み取ることができます。嘔吐反射が強い方や、従来の型取りが苦手な方にとっては、負担を軽減できる可能性があります。 ただし、デジタル機器を使えば、それだけで治療の質が決まるわけではありません。詰め物や被せ物の治療で大切なのは、虫歯を丁寧に取り除くこと、歯を適切な形に整えること、噛み合わせを確認すること、清掃しやすい形に仕上げることです。デジタル技術はあくまでも治療の精度を高めるための手段であり、基本的な診査診断と治療の質が重要であることに変わりはありません。