2020/05/04
今このコロナ禍において、どうして日頃の口腔ケアが大切なのか?
歯周病の治療や口腔清掃、プラークコントロールを怠ると、新型コロナウイルスによる肺炎が重症化します。
すでに傷んだ肺の組織に口腔内細菌が後追いで感染するためですね。
今皆さんに出来ることを始めてください。この機会に日頃の歯磨きに加え、正しい舌磨きも覚え実践されると良いでしょう。…
そしてコロナ禍が一旦収束し始めたら出来そうなこと、今から計画し始めてください。
歯科医院でないと出来ない大切なことは山ほどあります。
一生懸命歯磨きしても、落とせない歯石の塊や、バクテリアの塊(バイオフィルム)という強敵が皆さんのお口の中に潜んでいるのです。
小池都知事から
5/31まで緊急事態宣言延長の方向とのことですが、都民の皆様にも引き続きご協力をお願いしなければなりません。都民の命を守り、経済を早期に復活させるためにも、まずはこの正念場を乗り越えてまいりましょう。東京都の具体的方策は、明後日5日にも公表できるよう、取りまとめてまいります。
本日の新規感染者数は91名(濃厚接触者27名、経路調査中64名)です。
また感染により4名の方がお亡くなりになられました。心からご冥福をお祈りいたします。
今、私たちにできることは、『感染しない、感染させない』です。
医療現場でご尽力されている皆様、自粛にご協力いただいている多くの皆様、それぞれの努力を無駄にしないためにも、今はお家で過ごしましょう。命を守るため、一日も早く日常を取り戻すため、ご協力ください。
私も今日のライブ配信はStay Homeで、自宅からお届けしました。
https://youtu.be/dX2xd5-qWMg
緊急事態宣言、午後に延長決定 首相、全国で5月31日まで
不要,不急の歯科治療とは?
不要な歯科治療とは何でしょうか?
…
もし不要な歯科治療というものがあり、それを日頃から歯科医師が行っていたとしたらこれは違法じゃないでしょうか。したがって、不要な歯科治療はありえません。また患者さんも、歯科医院へ要があるから来院されるわけです。
不急の歯科治療?
虫歯や歯周病は感染症ですから、痛みがないからと言って先延ばしにすることは感染拡大につながりますし、痛みがでたり、歯髄を保存不可能な状態になるリスクもあります。
また歯周病が進行すると歯原性菌血症が進行し、誤嚥性肺炎や心筋梗塞や脳血管疾患のリスクが高まります。
審美治療は不急じゃないかといわれるかもしれませんし、先に延ばしてもいいのではないかといわれるかもしれません。
傍から見るとそうかもしれませんが、審美不良を主訴に来院されているか患者さんにとっては不急ではなく、必要でありまた少しでも早く治療して審美回復したいという思いがあるわけです。
歯科医師側から審美治療を促したり、求めているわけではありません。
ですから不要不急の歯科治療というのはないのです。
歯科が感染の温床のようにマスコミで報道され、また誤った報道を打ち消すまでの歯科医師会側のタイムラグが誤った認識を広げてしまったことは残念でなりません。
厚生労働省 5月1日に専門家による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」がなされました。 緊急事態宣言による行動変容の要請は、感染拡大を防ぎ、医療提供体制の崩壊を未然に防止することを目的としています。 対策を一気に緩めれば、感染が再燃し、医療崩壊・重症者増大のおそれがあるとしています。 今後のシナリオ(日本の場合) 出典:厚生労働省 ①早期診断及び治療法の確立により重症化予防の目途が立つまで ②効果的なワクチンができるまで 蔓延防止を第一としつつ、社会経済活動との両立を図っていく 感染予防する「新しい生活様式」 要するに、医薬品介入が可能になるまで、非医薬品介入の現行の方法を繰り返し行っていくということです。 新しい生活様式? 基本的感染対策の実施 接触機会の減少の対策 新しい生活様式というと聞こえがいいですが、現行の感染予防策を励行し、生活を自粛して接触を減らすことを行っていくと言うことです。 今後の方針 出典:厚生労働省 我々一般庶民は、行動変容を新しい生活様式にするだけです。多分ゴールデンウイーク明けに、政府からの発表がある…と思います。 米ミネソタ大学「感染症研究政策センター」が、新型コロナに関する見解 5月1日に、米ミネソタ大学「感染症研究政策センター」が、新型コロナに関する今後のシナリオ等の見解を報告したので参考になるかもしれません。 出典:COVID-19: The CIDRAP Viewpoint シナリオ1 2020年春のCOVID-19の最初の波の後に、夏の間、その後一貫して1〜2年間にわたって一連の繰り返しの小さな波が続きます。2021年のある時点で徐々に減少していきます。これらの波の発生は地理的に異なる場合があり、どのような緩和策が実施されているか、どのように緩和されるかに依存する場合があります。 波のピークの高さに応じて、このシナリオでは、次の1〜2年間で定期的な再構成とその後の緩和が必要になる場合があります。 シナリオ2 2020年春の第1波の後、2020年の秋か冬に大きな波が起き、2021年に1つ以上の小さな波が起きます。このパターンでは、秋に緩和策を再設定して、感染の拡大を抑え、医療システムの崩壊をさせないことをする必要があります。1918-1919のスペイン風邪の時や1957-58のパンデミック、2009-2010のパンデミックの時にも類似したパターンが起きました。 シナリオ3 2020年春のCOVID-19の最初の波に続いて、進行中の感染と症例発生の「ゆっくりとした燃焼」が続きますが、明確な波のパターンはありません。繰り返しますが、このパターンは地理的に多少異なる場合があり、さまざまな地域で実施されている緩和策の程度によって影響を受ける場合があります。この3番目のパターンは、過去のインフルエンザの大流行では見られませんでしたが、COVID-19では可能性があります。この3番目のシナリオでは、ケースと死亡は引き続き続くものの、緩和策の再設定を必要としない可能性が高いと思われます。 シナリオ2が好ましくないパターンですが、日本は、どちらかというとシナリオ1を現時点ではゴールにしている様です。 新型コロナは最終的にはどうなるのか? 新型コロナのパンデミックは、集団免疫が徐々に獲得され、18~24ヶ月間続くとしています。これは、先日のハーバード大学の論文と同じです。 パンデミックが衰退するにつれて、SARS-CoV-2は、人間の集団内を循環し、時間とともに重症度が低下する季節パターンに同期するとしています。 つまり、現在の風邪とかインフルエンザと同様に、これからずっと共存していくことになるということです。 推奨事項として 州、準州、および部族の保健当局は、ワクチンの入手可能性や群れの免疫がないことを含めて、最悪のシナリオ(2020年の秋に2番目の大きなピークを含む)を計画する必要があります。 政府機関と医療提供機関は、病気の発生が急増した場合に医療従事者を適切に保護するための戦略を策定する必要があります。 政府当局は、緩和策を再開するためのトリガーを含め、病気のピークが発生したときに対処するための具体的な計画を策定する必要があります。 政府当局者からのリスクコミュニケーションメッセージには、このパンデミックがすぐに終わるわけではなく、今後2年間にわたって定期的に再発する可能性に備えて準備する必要があるという概念を組み込む必要があります。 まとめ 日本の専門家会議の今後のシナリオは、ある意味では秀逸かもしれません。政府と専門家に期待というところでしょうか? 参考文献 1)「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 5 月 1 日) 2)COVID-19: The CIDRAP Viewpoint
https://azamidental.com/future-scenario-of-new-coronavirus/もっと見る

https://azamidental.com/ace2-receptor-and-oral-care/
「緊急事態宣言」の継続延長が安倍首相から5月4日に発表。さらなる国民の冷静な対応の継続が求められることになった。特に院内感染の発生が目立ち始めてから、臨床現場として診療機関の懸命なる感染症罹患者への対応には、政府・専門家・国民から、敬意と謝意が寄せられている。同時に状況の情報変化に絶えず注意しておくことも必要のようだ。歯科の現状を鑑みる中で、故増原英一氏(東医歯大名誉教授)と歯科界各領域の代表者の対談をまとめた「日本の歯科医療を考える」(1994年・発行=クインテッセンス出版)に注目。特に慧眼に値する意見・指摘をしていたのが行天良夫氏(当時・NHK解説委員:千葉大医学部卒)。「歯科医療に期待する」として増原氏と対談したが、歯科界として将来を見据えたな内容であり、再考を促す意味の内容要旨を以下に紹介する。
ある歯科医師から言われたことがあるとして紹介。「ターミナルの方に、噛める機会を作るのに全力を尽くす。すると世間では、売名行為、カネ儲け主義だと批判されたのは心外。人間最後にプレゼントできる重要なことに歯科医がタッチすること。もっと胸を張っていけるような状況にならないのか」という内容でした。行天氏は、ある意味でその考え方に感動したとして、「これは、ターミナルの過剰診療とは全く違うと思うのです。痛みを止めるのと同時に、“がん”の末期の方でも、ご自分で、例え一杯の水でもあるいはスープでも飲んでいけるというのが、大事なことだ」と指摘。さらに、「それは、保険である程度認めるべき方向だと思うのです。例えば、スープを飲むのになぜ、総義歯が必要なのかと言う“バカ”な人がいます。スープを飲むのでも、総義歯で飲むのと何もなくプアプアと飲むのでは、わけが違うのです。それを評価しないのは変だと思います」と続ける。
以上がポイント。「きちっとしたことに関しては、どんどん言うべきです。言わないことに、言えないことがあるのかな、とみんな思うのです」「そういうのは、日本歯科医学会や日本歯科医師会で表彰するのです。あるいは、“仲間がこういうことをしているのです”と声高に言うのです」「今(当時)、実際に、医科向けに出ている本で、しかも一般の方にも多少読まれていて、一番読まれているのがあります。“各地でこうしたことをしている医師がいる”というものです。やはりしていることを客観的に評価しながら、問題点を全体に拡大する方向でしているのです。それが歯科医療にないのが、残念だと思います」とターミナルに歯科が関与する意義・必要性を強調していた。
さらに、「根本的に考え直さないとダメだと思います。だって単に同類の情報を伝達して、技術論だけの伝承だったら、あんな立派な紙で厚いを本を作る必要はないです」と皮肉を込めて付言し、「今までは、余計なことをやる必要がないくらい患者が朝から晩まで来ました。少し長く太平の夢を見過ぎていた一面はあると思います。今度は、どんどん出て行くというだけでなく、歯科医師の真価を問う時代だと思いますので、どんどんすべきです」と促した。増原氏も「歯科の人は昔から、医科と違って直接に命に関係ないという甘さがあって、問題を表向きにしないで来た面があります。高齢化社会(現在は高齢社会)になって初めて、歯科というのは非常に重要な責任があるという認識が出て参りましたので、どんどん声高に発言していくべきですね」と繰り返し強調していた。
余談であるが、かつて、医療ジャーナリスト懇話会懇親会で行天氏から故武見太郎・日医会長とのエピソードを紹介された。「晩年、慶大病院に入院している武見先生を見舞に行った時、先生の行きつけの某寿司店の“寿司”を土産として持参。病室で食した時に、“美味しい!”“自分の口で食べるのはいいね”と苦笑していた。もしかしたら、この時、初めて歯科の重要性を理解したかも(笑)」と。
以上のような対談があったが、以後、約25年が過ぎ、歯科はどう変化したのか。課題の改善、未解決などの評価は必要なことであるが、十分にされているとは言い難いのも事実。課題を指摘すると、“日歯批判”と受け取られてしまう懸念があり、回避する・無難な表現で推移してきたことは否定できない。日歯代議員会・日歯通知などでも、「問題改善・解決のために努力を継続中。その点の意を汲んでいただきたい」とする見解で会員には理解を求めていた。日歯の対外的なコメントとしての表現の難しさも否定できないが、時代が期待する歯科界へニーズへの対応を、従来から踏み込んだ情報が随時ほしいのも現実といえそうだ。2019年に“人生100年時代”を厚労省が主張する時代になれば、この行天氏の発言をどう理解するのか歯科は問われている。