神奈川歯科大学槻木 恵一先生【唾液に秘められたパワー】|葛飾区お花茶屋の歯科・インプラント|コージ歯科

神奈川歯科大学槻木 恵一先生【唾液に秘められたパワー】
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葛飾区お花茶屋のコージ歯科 貝塚浩二です。槻木神歯大教授が“唾液力強調:感染症対策としても効果あり

 

歯科領域での“唾液”の機能・効果は評価されていたが、この唾液に改めて注目され始めている。唾液についての書籍では、植田耕一郎・日大歯学部教授著「長生きは“唾液”で決まる!」(講談社+α新書)2014年に発行し、専門家の間では、話題になっていた。同教授は東京都リハビリテーション病院(墨田区)に勤務して現実の臨床現場での経験が、同教授に影響を与えたようだ。本書では、“唾液と口臭・メタボの関係”“唾液が増えると虫歯しらず”などを説明。「口ストレッチ」「唾液腺を刺激する方法」にも触れて、唾液の効能を強調。日本人の平均寿命は世界一になり、一方で寝たきりの人も増加しており、2030年には要介護高齢者が550万人になると推定されている。こうした状況が続く中、最後まで人間らしく生きる健康長寿のためには、「口の中がサラサラ唾液で満たされていることが重要」と植田教授は主張している。“唾液”は、私たちの体にどのような影響を及ぼしているのか、改めて興味は尽きない。

 

一方、最近では、槻木(つきのき)神歯大教授(同大副学長)がマスコミからの取材を受け、基礎系の視点からの唾液の機能、免疫力アップを指摘し、結果としてコロナ防止にも寄与すると力説している。そもそも槻木教授と“唾液”について関係・背景の概要をしぉう回しておく。基礎・臨床において、疾病予防・健康に貢献に資する研究会が創設され、202211月に第1回日本唾液ケア学会学術大会が開催され、理事長に槻木教授が就き、取材された記事では、次のように説明している。

 

「唾液の作用を量と質の2つの面から捉える“唾液力”。私たちが唾液腺健康医学を創設してから15年が経過しました。その少し前の2002年くらいから、ドライマウスがブームとなり、唾液の重要性は社会全体で広く知られるようになりましたが、歯学部での研究は、唾液腺局所での現象を追求することがほとんどでした。そこで私たちは、唾液の量の意義だけでなく、質の重要性まで周知されるよう、この15年の間でさまざまな研究に取り組んできたのです。この取り組みの結果、唾液・唾液腺と全身との連関性を科学的に明らかにし、唾液の作用を量と質の2つの面から捉える“唾液力”を提案。唾液腺健康医学の必要性への意識も徐々に高まりつつあります。ただし、その認知度はまだまだ十分ではありません。“唾液力”という造語を今回、初めて目にしたことかと思います」と説明している。

さらに「唾液量の増加だけでも口腔及び全身に、良い影響がもたらされることは間違いありませんが、質にも働きかける必要があります。20214月に“日本唾液ケア研究会”を発足。これまでの活動を組織化し、唾液の健康効果を普及させるために発足したのが“日本唾液ケア研究会“です。唾液ケアを推進し、国民の健康に寄与するための社会貢献をしていく組織となっています」とした。“ 唾液”は口腔領域の専門医である歯科医とは不可分の関係であり、さらなる追究をしていくとされる。

 

“唾液力”としての機能である免疫にも注目している。同教授は、「免疫とは、体外から害を与える微生物などに対して働き、疾病を軽度に済ませる、発症を未然に防止する機能であり、疾病の発症は、微生物の悪さをする力と免疫力のバランスが崩れた時に生じる」と指摘している。具体的には免疫成分である“IgA”量にも関わっているという。免疫と関係ある腸内環境のバランスが、唾液の質・免疫力を優位にしておくことが必要であり、歯科の観点から指摘すれば、いわゆる口腔ケアになる」とした。今後、新たな知見、データ、可能性などが期待される。臨床の現象、その現象の科学的評価を第三者・医学関係者にも理解されることが期待される。既に研究が各立場で実施されているようだが、歯科界の将来展望に一石を投じる報告が期待されている。

槻木 恵一(つきのき けいいち) 先生
神奈川歯科大学副学長・大学院研究科長、大学院口腔科学講座環境病理学教授。著書は『唾液サラネバ健康法』(主婦と生活社)、『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』(扶桑社)など多数あり、テレビをはじめとするメディアにも出演。『anan』(2021年2月3日号)や『ESSE』(2021年3月号)などの雑誌では、記事の執筆や取材協力で、美容と健康、免疫力など、唾液の働きについてわかりやすく解説している。