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衆議院 厚労委員会“かかりつけ医”を巡り参考人が意見
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衆議院 厚労委員会“かかりつけ医”を巡り参考人が意見

 

4月4日、衆院厚労委員会(委員長=三ツ林裕已)が開催され、いわゆる“かかりつけ医”機能を巡る制度整備も含んだ“全世代社会保障法案”について、参考人質疑が行われた。佐野雅宏氏(健保連副会長)、草場鉄周氏(プライマリ・ケア連合学会理事長)、川崎真規氏(日本総合研究所上席研究員)、釜萢(かまやち)敏氏(日本医師会常任理事)、伊藤周平氏(鹿児島大学教授)の参考人から意見を聞いた。特に“かかりつけ医”についての質問に注目した。そもそもとして定義が曖昧としている中、機能論が先行している現状を承知した上で様々な視点から、高階(たかがい)恵美子(自民)、中島克仁(立憲)、佐藤英道(公明)、池下卓(維新)、田中健(国民)、宮本徹(共産)、二木博文(有志)から質問がされた。日歯を含めて医療関係者にも参考になる意見もあった。その中から一部要旨を報告する。

 

佐野氏「患者・医師の信頼構築が大前提。医師の認定は医療団体の仕組みを活用。医療機関の認定は、研修を修了した医師等の配置、情報インフラ等の整備、付加的機能を含めた実績などが条件です。医師・医療機関ともに、地域医療連携のネットワークを有することが必須。“かかりつけ医”の制度は、まずは、国民・患者の選択が前提であり、国民・患者の支援が保険者の役割です」。

 

草場氏「日本の医療の長所は“フリーアクセス。患者が医療機関を選んで受診する自由があります。しかしその一方で、住民一人ひとりの健康管理を医療機関が責任を持って担うシステムがありません。今回のコロナ禍で結局、患者自身が引き受けざるを得ませんでした。身近に起きた事態から本当に危機感を感じました。健康増進、疾病予防などの公衆衛生・保健行政専門医療をつなぐかかりつけ医のあり方=プライマリ・ケアの体制が重要です。かかりつけ医機能の明確化、総合診療ができるかかりつけ医の養成、登録制の導入などを段階的に、かかりつけ医の制度化は必要です」。

 

川崎氏「将来の公衆衛生危機や今後の少子高齢化への対応を考え、健康不安時の対応のほか、生活習慣病患者への質の高い医療の提供、病院・診療所間連携、在宅支援におけるかかりつけ医の役割を改めて見直すことが必要である。そこで、細分化された専門医だけでなく、全人的・包括的に複数科/疾病の患者も診られ、患者の地域や家族の状況も踏まえて診察できる医師(プライマリ・ケア医)が必要である。そのために、国民一人ひとりが、自らが選んだ一生涯の“かかりつけ”の多職種医療従事者チームに診てもらえる“国民の一生涯を見る“日本版プライマリ・ケア”の仕組みを整備すべきではないか」。

 

釜萢氏「かかりつけ医の研修には、既に多くの医師が受講・修了しています。また、医療機関の“かかりつけ医”機能については、必ずしも一つの医療機関においてかかりつけ医機能の全てを担わなければならないということでなく、診療科にかかわらず、それぞれの医療機関が有している機能を発揮しながら、連携とネットワークによってその他の機能を補完することで発揮されます。そのためにも、各医療機関は自らが持つ機能を磨くことにより縦糸を伸ばすとともに、更に地域における他の医療機関との連携を行うことを通じて横糸を紡いでいくことで、地域での面対応になります」。

 

伊藤氏「コロナ感染症で明らかになったことがあります。“かかりつけ医と思っていた診療所や医療機関が発熱外来等に対応してくれないという事態が各地で起きました。改めてかかりつけ医“とは何かとなりました。国民から見たかかりつけ医の姿や機能の明確化が求められました。かかりつけ医は、患者と医療者の信頼関係が基本です。法制化の形ではなく、奮闘する複数の医師で一人の患者を支えることでないか」

以上が要旨であるが、そのほか「医療費(保険料、公費、患者自己負担の割合)問題」、「小児科医療費無料問題」「医療DX」などにも質問が続けられたが、質問者の人数、限られた時間の関係で、参考人の意見は一質問に一人数分程度でありポイントだけであった。明確な意見もある一方で、曖昧さを残しながら慎重に言葉を選択しての意見もあり、互いの意見が歴然と相違するケースもあった。与野党の質問者からは、「それぞれの意見、参考になりました。今後の審議に活かしていきたいと思います」と質問した委員から謝意が述べられた。

 

【厚労省:かかりつけ医】何でも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療 機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する 医師。

【日本医師会:かかりつけ医】「健康に関することを何でも相談できる上、最近の医療情報を熟知して、必要な時には、専門医、専門医療機関を紹介てくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」。

【日本歯科医師会:かかりつけ歯科医】安全・安心な歯科医療の提供のみならず医療・介護に係る幅広い知識と見識を備え、地域住民の生涯に亘る口腔機能の維持・向上をめざし、地域医療の一翼を担う者としてその責任を果たすことができる歯科医師。