2023/03/25
東京都葛飾区お花茶屋のコージ歯科 貝塚浩二です、歯科医師国家試験の今年の結果について
第116回歯科医師国家試験の合格発表が3月16日にあった。歯科医師国家試験は、遡って約10年前頃より合格者の人数が約2000人、不合格者約1000人で推移しており、この推移は、歯科医師需給問題からの観点から、出口調整の意味合いがあるとの指摘が以前からされている。さて、具体的な数字として、国公立歯学部・歯科大学の全体:63.5%、新卒者:77.3%、合格者数は、全体:2006人、新卒:1483人であった。大学別では、今回も東歯大の奮闘が著しく、国公私立の大学合わせ、合格率・人数でトップの数字を出し、その評価を盤石にする結果を出したことになった。新卒上位は東歯大94.1%(111人)、松本歯大93.2%(55人)、日歯大生命歯学部86.3%(88人)、岩手医大歯学部83.3%(20人)、日歯大新潟生命歯学部83.3%(45人)であった。
一方、一部マスコミで問題視されている、出願者数と受験者数に目を向けると、愛知学院大学歯学部:100%(116/116)、岩手医大歯学部:45.2%(24/53)とその相違があった。出願者数と受験者数が同数は、歯系大は愛知学院大の1校だけであったが、医系大は、順天堂大(135/135)、埼玉医大(118/118)、慶応大(118/118)、慈恵医大(110/110)、日大医学部(123/123)、大阪医科薬科大(108/108)、久留米医大(102/102)の7校があった。
また、合格者数を見ると、上記の通り、最少の岩手医大歯学部と最多の東歯大では約5倍の差があり、これは昨年と同様な状況であった。数字の“からくり”があることは、大学関係者は暗黙に了解しているが、常態化してしまう懸念が増すばかりである。具体的な数字に捉われてしまうが、以前から東歯大関係者は、「本学の合格者数を見てほしい。100人以の合格者数を出すのは大変なことです。本当に大学教員・学生に敬意と感謝です。生徒も学内の進級にクリアすれば“国試”は大丈夫と思い、互いに意識して勉強する雰囲気になっているかもしれないですね」と本音を吐露していた。今回も例年通り高い合格率を示していたが、特別な内容はないとされる。歯科大学のトップブランドの確立・継続は、他の大学関係者も認知しており、コロナ感染問題も落ち着き傾向になってきており、慶大との統合問題の協議の今後に興味が移るのが、歯科界かもしれない。
既報であるが、文部科学省「歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(座長:江藤一洋)令和元年度(第4回)フォローアップ調査まとめを踏まえたヒアリング結果について」が公表(令和4年3月31日)している次の項目への対応が、改めて問われてきそうだ。○留年・休学率⇒直近の在籍者の留年率が25%の歯学部、直近の6年時の学生の2人に1人(約50%)が留年している歯学部。○学生の進路⇒歯科医師にならなかった学生の割合が過去3年間20%以上の歯学部、○修業年限(6年)での歯科医師国家試験合格率⇒修業年限(6年)での歯科医師国家試験合格率が過去3年間50%未満の歯学部、 ○入学定員(募集人員)の超過・未充足(編入者含む)⇒入学定員(募集人員)が過去3年間超過受け入れをしている歯学部、入学定員(募集人員)が過去3年間未充足をしている歯学部、○入学定員(募集人員)の削減⇒入学定員(募集人員)削減目標(昭和0年度比△28%を達成していない歯学部)。
現在の歯学部教育では、臨床実習に関連し共用試験が実施されている。これは、CBT、OSCEなどからなり、知識・技能・態度を測定し、能力的に資格のある学生を認定して臨床実習を受けさせている。こうした経緯を踏まえて、有識者の一人は「歯科医師国家試験では約60%前半しか合格しない。共用試験で問題がなく歯科医師国家試験を受験したら、不合格という生徒がいるが、これでいいのか疑問を感じる」と指摘している。