「どの医者より歯医者が怖い」阿川佐和子さんのエッセイから|葛飾区お花茶屋の歯科・インプラント|コージ歯科

「どの医者より歯医者が怖い」阿川佐和子さんのエッセイから
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 阿川佐和子さんが『婦人公論』で好評連載中のエッセイ「見上げれば三日月」より「歯より始めよ」

 「どの医者より歯医者が怖い」というほど苦手な歯医者に半年ぶりに行ってきた阿川さん。ビクビクしながらリクライニングシートに身体を埋め、診察が始まると先生の穏やか声が穏やかならぬ言葉を発した――。 ※本記事は『婦人公論』20223月号に掲載されたものです * * * * * * * 年半ぶりに歯医者へ行った。 一般的に歯医者というところにどれほどの頻度で通うべきなのか知らないが、どうやら私はかなり疎遠な関係らしい。私の周辺には月に一度ぐらいの割合で通っている熱心な歯科ファンが多い。そういう人々から、 「定期的にクリーニングしてもらわないとダメですよ」 と、ものぐさな私はあちこちで非難される。歯石が溜まって歯槽膿漏になるとか、歳を取るほど歯のメンテナンスが必要になるとか、怖いことを言って私を脅す。それでもめげずに怠け続けてきた。 美容院だって三年に一度ぐらいしか行かない私が、痛くもないのになぜ定期的にあんな怖いところへ行かなければならないのか。そう、私はどの医者より歯医者が怖い。あの、キーーーーーンという音を想像しただけで首をすくめたくなる。それ以上深く掘らないで。 無言の願いも空しく先の尖った電動器具は私の歯の穴にぐいぐいと襲いかかってくる。 「痛かったら言ってくださいね」 先生は優しい声でおっしゃるが、そう言われてもこちらは無防備に口を開けたまま、ひたすら眉間に皺を寄せたり、ときどき片手を挙げてジェスチャーしたりして意思を伝えるしか手立てはない。 たとえ手を挙げて、「もう勘弁してください」とお願いしたところで、一瞬、手を休める程度で、治療を中断してくださるわけではない。あれが、怖い。あの種の恐怖体験は人生にできるだけ少ないほうがいい。だから、 「痛くなるまでは行くまい」 そう心に決めて長い間しのいできた。

 ところが。去年の暮れに、突然、下の奥歯に怪しい感覚を覚えた。 ときどきススーッと軽い痛みが走る。きっと気のせいだろう。疲れたときに歯が痛むというのはよくある話だ。じゅうぶんに睡眠を取ったりのんびり過ごしたりするうち、痛みは自然に消えるであろう。 期待したが、ちっとも消える気配がない。それどころか日が経つにつれ、さらに痛みの頻度が増してきたかに思われる。それでも私はじっと耐えた。気のせいだ、気のせいだ。 我慢しながら考えた。この痛みがさらに激しくなり、耐えられなくなる頃に正月を迎えるのは由々しきことである。せっかくのおせち料理(自分で作るわけではないが)もお雑煮も楽しめないし、そもそも正月を寿ぐ気分でなくなるのはなんとも情けない。 だいたい歯痛というのは、「なぜ今?」という最悪のタイミングに訪れる。旅先や飛行機の中。極めて忙しい最中。そして世の中が一斉休暇に入った頃。 まるでいたずら坊主が塀の向こうから顔を覗かせてヒッヒッヒと憎たらしげに笑うかのごとく、こちらの都合の悪いときにかぎってやってくる。 よし! 私は覚悟を決めた。PCR検査で鼻の奥に綿棒を突っ込まれるのも平気な私が、鼻うがいを屁とも思わぬ私が、歯医者のキーンごときを恐れるとは、女が廃るというものだ。行ってやろうじゃないの。なにが怖いものかいな。 二年半ぶりだったと知ったのは、歯科医に告げられたからである。ビクビクしながらリクライニングシートに身体を埋め、紙エプロンをかけ、目にタオルを載せられて、私は震える息で深呼吸をした。 長きにわたる無沙汰を責めることもなく、寛大なる先生は私の口の中を淡々と観察し、レントゲンを撮ったのち、優しくおっしゃった。 「だいぶ前にカバーをした歯の内側に小さな虫歯ができた可能性があります。本格的な治療は年明けに行いましょう」

 なんだ、小さな虫歯か。ならば大した治療にはなるまい。そう安堵した矢先、 「しかし、この二年半のあいだに歯茎がだいぶ後退しています。ちょっとスピードが速すぎますねえ……」 穏やかな声が穏やかならぬ言葉を発した。 虫歯どころの騒ぎではない。このまま歯茎の後退がどんどん進み、歯の隙間がさらに広がって、いずれどの歯も自力で立っていられなくなり、ポロンと倒れてしまう日が訪れるのか。 父と母を思い出す。いつのまにか両親は総入れ歯になっていた。父は上下とも、母は上だけであったが、こんな大事業を成したこと、一緒に暮らしていなかったとはいえ、まったく娘は気づかなかった。 両親の介護をするようになり、たびたび二人の入れ歯の世話をしたものだ。人工の歯を入れたまま床につくのはつらかろうと思い、入れ歯を取り出して歯ブラシで洗ったりもした。入れ歯が行方不明になり、家中を探し回ったこともある。 父も母も、入れ歯を除くとたちまち漫画で描いたような老人顔になった。 「歯って、大事なんだねえ」 あのとき身に染みた記憶がある。 「だからこそ、自分の歯をできるだけ長持ちさせるようにしましょうね」 先生の優しい顔の奥に暗黙のプレッシャーを感じた。 わかりました。わかりましたよ。来年からは真面目に通います! こうして新年早々、私の新しい手帳の白いマス目には、「歯医者」という文字が三つも並んだ。 まず一回目に虫歯の治療をし、上から覆う「かぶせもの」の型を取る。本物のかぶせものができるまでは仮のカバーを設置する。そして二回目に、全体のクリーニングを行い、三回目にしていよいよ本物のセラミックカバーを装着させ、虫歯部分の治療が完了する見込みだ。 しかしきっと三回目の治療を終えた頃、「おお、こちらの歯に小さなヒビが入ってますね」などと新たな発見をされるに違いない。その治療をするうちに、きっと次なるクリーニングの時期が訪れるのだ。 こうして私は延々と歯医者通いをすることになるだろう。ちょっと憂鬱ではあるけれど、そのときは、両親が入れ歯を取ったときの顔を思い出し、笑って乗り越えることにしよう。

葛飾区お花茶屋のコージ歯科の貝塚浩二です、昔に比べれば、今はかなり好くなってきていますよ、歯医者どくとくなきーーーんの音はエーアタービンといって歯を削るときに使用します、もちろん今も使用しています、バーという小さなドリルみたいのはエアーで高回転で回して削ります、当医院の場合も使用することがありますが、モーターで回転させるのを使用することが多いです、モータ音なんできーーーんの音はないです、他にレーザーで虫歯を蒸散して治療することまありますが、虫歯の大きさによっては使用できないこともありますし、かなり時間がかかることが多いです、どれにしても、水、エアー等で冷やしながら使用することが多いです、水は排出官で昔は、吸っていましたが、今はバーキュムという小型の掃除機ですいます、苦手の人が多いです。今はリクライニングシート(歯科治療ユニット)昔は手動で座って治療でしたので歯科医の立って治療していました、この続きは2で御願いします。