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「口腔機能低下症」って知っていますか?
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 2月9日、2022年度診療報酬改定について、中医協から答申された。事前に改定既項目、新規項目が想定されていたが、正式に改定点数が決定され、診療報酬改定の評価は“可もなく不可もなく”。重症加予防の政策が反映したとの評価も一部で指摘され、今後の歯科診療を新たな方向性を示唆している。歯科関係者からの指摘されたように“骨太方針”を反映した内容に沿ったことになった。

“口腔機能低下症”と称された疾患がある。20184月の診療報酬改定で歯科領域の新たな病名として認められたが、診査・診断のキーワードになってきている。コロナ禍の最中という社会状況もあり、歯科疾患として新しいイメージとして、咀嚼・嚥下がクローズアップされてきており、医科のからの指摘も目立つようになった。

今までは老衰・年齢を重ねると当然なる体力の低下・虚弱化として理解して納得していた。それは、体力の衰えは、社会全体の健康観であったが、“口腔機能低下症”は、改めて科学的視点からの評価の導入であるが、時代の変化は無視できない。高齢社会の到来により、高齢者ならでも特性・対応・効果など専門学会からの研究・分析があったといえる。老化の捉え方にも影響を与えるが、“口腔機能低下症”については、一般には次のように指摘している。「咀嚼、嚥下、唾液分泌、感覚などの機能が低下する症状であるが、それを放置していることで、咀嚼、嚥下機能の低下を招くことで、体重の減少、歩行速度の低下、筋力の低下などがみられる、いわゆる“フレイル”の状態になり、さらに、筋肉量が減少するサルコペニア、運動器の障害で歩行や日常生活に支障を来たすロコモを招くことにます。結果として“寝たきりで要介護”の状態になる可能性が高くなる」。

検査には、次の7つの症状について評価する。①口腔衛生状態不良、②口腔乾燥③咬合力低下、④舌口唇運動機能低下、⑤低舌圧⑥咀嚼機能低下、⑦嚥下機能低下の7項目を検査して、3項目以上に該当し、かつ③咬合力低下⑤低舌圧、⑥咀嚼機能低下のうち1項目が含まれている場合、口腔機能低下症と診断される。

そこで、口腔機能精密検査で口腔機能低下症と診断されると、改善策として生活習慣や食事の指導が行われる。具体的には、「歯周病や虫歯があり、残歯数が少ない場合は歯科治療を検討。また、適切な歯磨き方法、唾液分泌の促進、舌の筋肉や嚥下力を強化、咀嚼機能を向上させるトレーニングなどの指導も行い、口腔機能の改善や維持を目指す」となるようだ。“口腔機能低下症”への対応から、摂食・嚥下の機能改善することが、全身疾患への対応にもなる。今後の展望として、病院では、咀嚼・嚥下機能の維持・確保のためのチーム医療が当然の医療行為になることを見据えている。

歯科には形態・機能回復が求められ、日々研究・診療提供してきたが、新たな診療視点として必要となってきた。その意味では注目された、2012年に開設した日本歯科大学口腔リハビリテーション病院は10年の経緯が過ぎた。当時は、歯科の領域で“口腔リハビリテーション”という言葉から、歯科の将来を示唆していた。病院の目的は、要旨説明している。「乳幼児から高齢者まで、すべての年代を対象に、摂食・嚥下の障害、言語の障害のある方々の機能維持・回復を目指してリハビリテーションを実施。食べる機能は、個人個人に合った“食形態”“食べ方、食介助の方法”、“姿勢”の指導、機能訓練を行い、機能の獲得、回復、維持を目指します。口から食べられていない方でも、口の機能を維持し、再び口から食べる準備のために口腔ケア、機能訓練を行います。また、頭頸部手術の方についても機能訓練、及び指導を行っております。人間の3大欲求の一つが“食欲”であります。当科では、食に関するリハビリテーション、サポート、指導を行い、一人でも多くの方が“口から安全に食べられる”ようになることを目指します。また、障害が重くて口から食べられない場合にも、口腔機能の維持・向上を目的とした訓練や指導を行います」と強調している。

口腔機能低下症とは、その名の通り口腔内の機能(咀嚼、嚥下、構音、唾液、感覚)が低下していく症状です。 原因は主に加齢ですが、その他にも疾患や障害など様々な要因があります。 口腔機能低下症を放置していると、お食事をすることが難しくなり、お口だけでなく全身の筋力が衰え、特に高齢の方は要介護状態につながります。

そもそも口腔機能低下症というのは、いったいどんなものなのでしょうか?どんな症状が出るのでしょうか?
実は、一口に「口腔機能低下症」といっても、さまざまな症状があります。例えば・・・
以前と比べて、「食べ物が噛みづらい」「食べ物が口に残ってしまうようになってきた」「食事の時、むせやすくなった」「薬を飲みにくくなってきた」「口の中が乾く」「滑舌が悪くなってきた」「硬いものが食べにくい」「食事の時間が長くなってきた」といった症状が、口腔機能低下症の代表例です。
案外身近で、よくある症状のようにも感じられることでしょう。
こうした症状からわかるとおり、「口腔機能低下症」とは、口の中のさまざまな機能が低くなってきている症状の病気のことです。そう、口腔機能低下症は私たち誰もがかかりやすく、注意が必要なものなのです。
また、口腔機能低下症は、なにか具体的な症状のことのみを指すものではありません。上にあげた症状はともするとバラバラなものに見えますが、全体的にみて口の中の機能が下がってしまっている状態にあることをトータルにとらえ、それらをまとめて「口腔機能低下症」と言うのです。言葉のイメージで言うと、生活習慣病、と呼ぶ感じに近いかもしれません。

実は口腔機能低下症、2018年からこの病名がつけられ、歯科医院で保険での請求が可能になりました。
そのため、まだ知られざる新たな病気のように感じられるかもしれませんが、そうではなく、広く多くの方に生じている口の中の機能低下をトータルに病気として捉えるようになったものだとご理解ください。

口腔機能低下症になる原因ってなに?

そうしますと気になるのは、口腔機能低下症を引き起こす原因です。症状も多岐にわたるため、原因もいろいろと考えられるのです。
まずいちばんの原因は「加齢」です。年齢を重ねると、口の中の「感覚」や「咀嚼」「飲み込み」「唾液の分泌」などが徐々に低下してきます。そうしたひとつひとつが、口腔機能低下症の症状を起こしていきます。
もちろん、虫歯や歯周病などで歯を失ったり、具合が悪くなったり、義歯が合っていなかったり、といったことも症状の原因になっていきます。日ごろの歯みがきなどのケアが行き届かないと、口の中の環境が悪くなっていきます。
全身のさまざまな病気によっても口の中の機能は低下しやすくなります。それ以外にも、何かの病気のために投与された薬の副作用や、栄養が行き届かない状態なども関係してきます。
つまり口の中の機能低下は、さまざまな要因が複合的に影響してきます。生活全体、自分の体調や健康管理といったものへのケアと、口腔機能へのケアは密接に結びついているのです。

油断禁物!口腔機能低下症が進むと・・・


でも、ただ口の中が乾きやすくなっただけでしょ、とか、滑舌が悪くなっただけでしょ、とか、思っていませんか?
口の中の機能が低下することは、決して軽く見てはいけません。

口腔機能低下症が進行すると、全身的な健康が損なわれていきます。そのままにしておくと、なにより食べることが楽しくなくなり、外出も楽しくなくなって人との交流も少なくなり、いっそう外出しなくなってしまいがちです。
歯が悪くなると、噛み応えのあるものが食べられなくなり、柔らかい炭水化物を多く摂る様になります。タンパク質を多く含む肉を食べなくなり、ひいては筋力が減り、体力も弱っていきます。筋肉が落ちると日常的な動作に支障をきたし、歩いたり、階段を上るのが辛くなり、外出もさらに減っていきます。
このように、お口が弱ってくることは、全身が弱ってくることに直結し、日常生活に支障をきたしてしまいかねないのです。口の中の機能低下があまりに進行してしまうと、もはや元に戻ることはできません。口腔機能低下症は自分が気が付かないうちに進行します。症状のある方は勿論ですが、症状のない方でも65歳を過ぎたら定期的な検査をして早め早めのケアをお薦めします。

ちょっとでも気になるようなら、歯医者さんで検査を受けよう


少しでも口の中の症状で気になることがあるようでしたら、ぜひ歯科医院で検査を受けましょう。
口腔機能低下症の症状は多岐にわたりトータルにとらえる必要があるため、検査も様々な項目で確認していきます。
どんなことをするのか、簡単にご紹介しましょう。

まずは口の中の衛生状態をチェック。「舌苔」とよばれる、舌の表面からはがれた垢の付いている量を測ります。
次は、口の中がどれくらい乾燥しているのかをチェック。口腔水分計で湿り気を測ったり、ガーゼを噛んでもらって唾液の量を測定したりします。
3
つ目は、噛む力を測定。4つ目は、舌や唇の運動機能をみる検査をします。
さらに、舌圧と呼ばれる、舌と上あごとの間に作られる圧力を測ります。これが低下すると食べ物を舌でうまく送り込めなくなるからです。
6
つ目は、咀嚼機能の検査。食べ物が上手に噛めているかを調べます。
そして最後に、飲み込みの検査。うまく食べ物を飲み込めるか、飲み込みに時間がかかっていないかどうかを調べます。
これら7つの検査のうち3つ以上に問題があるようであれば、口腔機能が低下している、という診断になります。