「食べ方 みがき方」の本から|お花茶屋の歯科・インプラント|コージ歯科

「食べ方 みがき方」の本から

書籍「食べ方 みがき方」:“口腔内の清潔”強調の内科医・歯科医の共著の意義

 

歯科に関係する書籍刊行が続いているが、基本的な内容は類似している。口腔機能・管理が自身の健康に影響していくことが近年の研究で報告されていることと、市民の健康への関心が高まってきていること、歯科・口腔という生活に身近な分野であることなどが、出版界の刊行を促している。さらには、在宅・訪問歯科診療の今後の拡大は、社会全体としての課題になりつつあることも看過できないようだ。

医科でも在宅医療・介護の分野でも議論は進められているが、歯科の視点からも、医科を始め多職種の連携、栄養サポート(NST)などとの連携が必要と指摘されている。当然であるが内科医の存在が中心になるが、栗原毅氏(医師・北里大医学部卒・栗原クリニック日本橋院長)・栗原丈徳氏(歯科医・鶴見大歯学部卒・栗原ヘルスケア研究所長)による内科医・歯科医の共著「食べ方 みがき方」(日東書院)に注目した。

編集は簡潔に構成されている。「口は万病のもと」「手遅れにならないための口のケア」「唾液と噛む力が口も体を健康にする」「病気知らずの食べ方、運動、生活」「万病を防ぐ歯のみがき方、口に中のケア方法」とそれぞれ説明。健康には歯科・口腔ケアに関心を持つことが健康長寿の早道と主張している。専門の立場から栗原毅氏・栗原丈徳氏からはそれぞれ次にように指摘している。「“歯のケア状況、口の中を状態を見れば、その人の死期がわかる”は大げさな表現ではないのです。効果的な口腔内ケアによって口の中を清潔に保ち、口腔機能を改善し“元気で長生き”していただければ幸いです」「長年染みついた生活習慣や歯並びの特徴などにより歯磨きだけで歯垢が除去できない部分が必ず出てきます。そういった点を改善するための様々な方法を紹介させていただきました。また、そういった知識を広く啓蒙することは、われわれ歯科医師のこれからの重要な使命だと考えています」。

本書のように医師・歯科医師による共著の意味を再考する時期にきていると言えそうだ。この傾向には注目しておく必要がありそうだ。基本的には同様な指摘・コメントでも、歯科専門の指摘にさらに他分野からの指摘が重なることで、説得力が増しさらなる理解が深くなれそうだ。

最近の歯科トピックになっているのが、歯周病菌が糖尿病、肝臓病、誤嚥性肺炎、動脈硬化性疾患、認知症などと関係があること。学会発表等があることで、一般マスコミも報道するケースが多くなってきている。その一つの分野が栄養であり、その関係を指摘する書籍も散見されてきおり、歯科界からも歯科と栄養について、花田信弘鶴見大名誉教授が、歯科が栄養に関与しなければならない理由を「臨床歯科栄養学」(口腔保健協会・2018年刊行・監修=花田信弘ほか)で説明している。「歯科疾患が食品・栄養素 摂取に影響する」「食品・ 栄養素摂取が歯科疾患に影響する」「食行動は栄養に強く影響する要素であり、歯科からの発信が必要であり、社会からの期待」「歯・口腔という栄養摂取の入り口となる器官を日常的に扱い、栄養に近い所に位置し、栄養の専門家とは異なる視点で栄養をみることができる」として挙げている。

さらにその国試にも言及。「出題基準は昭和60年に策定され、4年に一度改定している栄養学の問題が国試に数多く出題されるようになってきたが、国試における栄養学は、管理栄養士の国家試験とは異なり、代謝疾患、腎・尿路疾患、内分泌疾患など複雑な疾患・病態別栄養、ケア・マネジメントが除外とされている。そのため、歯科医師国試対策の栄養学では、平均的な健常人に対する栄養学の基礎を集中的に学ぶことが大切である」と現実的な対応を示している。今後の課題の示唆とも受け止められそうだ。