21世紀の地域歯科保健の展開|お花茶屋の歯科・インプラント|コージ歯科

21世紀の地域歯科保健の展開

  昨年来の新型コロナウイルス感染症拡大対策は続き、関連するニュースは日々流れている。まさに市民がコロナウイルスの専門家の如き、熱い議論が街中で交わされている。こうした現状を目の当たりにするが、3年前は話題に上らず2020東京オリンピックが話題の中心で、マスコミが特集記事などで煽っていた。それが一転して現在に至ったのは、コロナ禍の影響で、それは“地域保健”や“公衆衛生”にも注目されるようになった。今後を見据えて問題がクローズアップされ、歯科領域でも課題が指摘されている。こうした現状からして、現在における問題意識と比較できるということで、雑誌「公衆衛生」(発行:医学書院20017月号)の特集「21世紀の地域歯科保健の展開」を再確認した。20年前の雑誌であるが現在を理解をする上で参考になる。主な表題と執筆者メンバーは、以下の通り。「21世紀の地域歯科保健の展望」尾崎哲則日大歯学部教授、「近未来に口腔保健対策」鶴本明久鶴見大歯学部教授・宮武光吉鶴見大学歯学部客員教授、「地域歯科医師会の取り組み(歯科医連携)」森岡俊介都歯理事、「厚生行政の立場から21世紀の歯科保健を考える」瀧口徹厚労省歯科保健課長ほか 。

尾崎教授は意見の中で最後には「地域歯科保健は健診活動を中心に行われてきた。また、母子・学校といった領域で齲蝕予防を主な目的としてきた。根拠ある保健活動を進めるにあたり、従来の手法にこだわることなく、健康診査もある程度リスク判定を取り入れ、予防処置や口腔保健指導を行いながら、母子・学校を乗り越え、継続的に地域で展開すべきである。齲蝕中心から、歯周疾患や咀嚼嚥下さらに口腔機能全体にわたり、全身との関連を踏まえた上での、口腔保健への展開も必要」とまとめていた。

さらに、大学からは鶴本教授と宮武客員教授は、“齲蝕の有病状況及び齲蝕発生要因の変化”“口腔保健対策の方針”“齲蝕予防の現在と未来”の視点から次のように指摘している。「口腔保健の対策の基本的な考え方は、地域の人々が自らの力で保健行動をコントロールし健康を創造できるようにサポートすることである。費用や設備などの社会的資源によるサービスも重要だが、それ以上に保険情報によるサポートが重要だと考える。保健情報として適切なものを選択し、すべての人が理解できるよう提供するのが専門家・行政の仕事である。口腔保健対策を推進すること、あるいは住民が期待する対策を行わないことの“説明責任”を負わなくてはならない。このような関係が確立された時に、ヘルスプロモーションに基づく口腔保健対策が構築できる」とした。

行政の立場から瀧口課長は自治体に対して、①自治体における歯科保健将来構想の構築、②8020推進特別事業などの有効活用、➂要介護者に対する歯科保健・医療対策への環境ℬ整備、④歯科技術吏員の採用の4点から認識を提示しているが、特に➂について、「要介護者は重症な歯科疾患を抱えることが多いことから、国の補助事業で歯科保健・医療に重点を置いた研修と要介護に歯科治療の病診連携のモデル事業などを行っているが、自治体においても介護保険施行後に訪問歯科保健・医療がどのように変化したのが現状把握の上、必要な対策を講じていただきたい」としている。現在はどう評価されるのか、専門家の意見も関心が寄せられる。

この20年の推移から何が指摘できるのか、新たな課題があるのか。日歯や歯科界は常に新しい事業・課題を追究・問題視し、業界マスコミも書雑・誌等などで編集テーマにしている。日本歯科医師会代議員会では、基本的には現状問題の質疑応答に止まり、継続している課題の改善の有無、歯科疾患への問題意識の変遷・評価などを歯科関係者が議論することは、次の世代に参考・貴重な資料になる。特に“古くて新しい課題”があるのは事実であるが、業界が一致・理解が必要のようで、永田町関係者からは「歯科が何を求めているのかまとめて整理して、それを広く報告してほしい。そこで国会議員が動き出すのが常識的アプローチ」と論じている。地域包括ケアシステム構築、訪問(在宅)診療の拡充、医科歯科連携などが医療に隣接して歯科領域でも重要な課題になっているが、新型コロナ禍から図らずも再確認を求められるのが公衆衛生・地域保健、感染対策、健診業務充実などであった。20年前は関心が薄かった課題が注目されたり、今後の課題に位置づけされているモノもある。

この類の問題は、歯科界だけでなく他の業界も同様である。課題の繰り返しには落胆・焦燥を招くことになる。法律や制度改正、専門団体としての組織決定などの再確認は必要のようだ。歯科界の具体的な時代背景の例として、2001(平成13)当時の日本歯科医師会会長(杉並区歯科医師会会員)は、中原爽氏の後継として臼田貞夫氏、日本歯科医学会会長は関根弘氏(東歯大教授)の後継として斉藤毅氏(日大歯学部教授)であり、“財団法人8020推進財団”が設立して1年経緯。また学会関係では、多少前後して幅があるが、1999(平成11)=日本障害者歯科学会、日本老年歯科医学会、2005(平成17)=日本歯科医学教育学会、日本口腔インプラント学会、日本顎関節学会が専門分科会に入会していた。医療を巡る時代・社会背景の推移・潮流が反映しているようだ。

雑誌「公衆衛生」(20017月号):問われる20年前の問題意識と現在の評価