2021/09/21

葛飾区お花茶屋のコージ歯科です。保団連が現在の状況を鑑みて、コロナ禍での教訓を生かした来年の診療報酬改定の要望書を9月21日、菅義偉総理大臣以下、麻生太郎財務大臣、自民党総裁選候補、各政党に提出し、その概要もマスコミに発表した。その経緯について以下のように説明した。ご承知のように、菅首相は9月9日の会見で「医療体制を確保することができなかったのは大きな反省点」と述べました。この「反省」を次期診療報酬改定にどう生かすかが問われています。診療報酬の改定幅は年末の予算案編成で決定されます。その決定に大きな影響力を持つのが次の首相です。本日、自民党総裁選挙の４候補者に要望書を提出しました。なお、予算編成前に総選挙が実施されることをふまえて、各政党にも提出しました。

内閣総理大臣菅義偉様　内閣府特命担当大臣西村康稔様　財務大臣麻生太郎様　厚生働大臣田村憲久様

全国保険医団体連合会会長住江憲勇

「コロナ禍の教訓を生かした診療報酬改定を要望する」

2021年9月21日

医療団体連絡会議（医団連）・全国保険医団体連合会（保団連）・全日本民主医療機関連合会（全日本民医連）・日本医療福祉生活協同組合連合会（医療福祉生協連）・新医協（新日本医師協会）・日本医療労働組合連合会（医労連）

新型コロナウィルス感染拡大によって、医療逼迫・崩壊という事態が繰り返されている。この原因は、長年の医療費抑制策によってぎりぎりの状態に追い込まれてきた医療供給体制が、コロナ感染拡大に対応できず、病床、設備、医師・看護師など人員の不足に陥ったためである。しかし、政府は、「骨太方針 2021」に象徴されるように医療費抑制策を改めることに背を向け、公立公的病院の統廃合など病床削減、医師数の抑制策、社会保障費の自然増削減、患者負担増を継続しようとしている。我々医療関係者は、政府が医療逼迫・崩壊の原因を率直に反省し、医療費抑制策の抜本転換を行うことを強く求める。政策転換の試金石となるのは、来年4月実施の診療報酬改定である。2001 年４月の小泉政権以降繰り返されてきた診療報酬のマイナス改定は、累計で10％を超えている。仮にこのマイナス改定がなければ、今回の医療逼迫・崩壊という事態は大きく様相を変えていることが想定される。コロナ禍の教訓を生かして新興感染症にも強い医療体制を作るために、以下の診療報酬改定を行うことを要求する。

一、コロナとのたたかいは長期にわたり、またコロナ以外の新興感染症の発生も予想され

る。コロナに係る臨時的取扱いとして、入院基本料の引き上げ、感染症対策実施加算、

乳幼児感染予防策加算、院内トリアージ実施料などが診療報酬上の対応として実施さ

れている。これらを次期改定に盛り込むこと。また、9月末に廃止・縮小が予定され

ているものは、継続すること。

一、コロナ禍によって余裕ある病床、設備、人員の確保が重要であることが明確になった。

この間、看護必要度、医療必要度などの算定要件の強化により急性期病床の削減策が進められてきた。これらを抜本的に見直すとともに、入院基本料を全体に引き上げること。

一、地域医療体制は、コロナ患者を受け入れている医療機関だけでなく、すべての医療機

関によって支えられている。診療所もコロナ対応では発熱外来、往診、在宅医療、ワクチン接種などで大きな役割を発揮した。地域医療体制の充実のため、初再診料などを引き上げること。

一、診療報酬以外の事項では、次のことを要望する。

・地域医療構想による急性期病床の削減、公立公的病院の統廃合計画を抜本的に見直すこと。

・「災害級」のコロナ感染拡大に対して、医療従事者は身を削って全力で対応している。メンタル面の障害も深刻であり、国が責任もってケアにあたると。また、すべての医療従事者を対象にして2回目の慰労金を支給すること。