「歯医者さんのかかり方」の本から|お花茶屋の歯科・インプラント|コージ歯科

「歯医者さんのかかり方」の本から
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 歯科医療の重要性が指摘されているが、実際に歯医者を選ぶにあたり、意外と悩んでしまうことが現実。最近は、歯科医院の外装や作り方が、患者に受けられる清潔感・親しみを出し、お洒落な綺麗なデザインの作りになっている。来院への誘引としているが、自宅や勤務先から近いところ、通勤途中にあるところの歯科医院に通院しているようだ。歯科医院の診療内容を、正確に理解して選択している患者はどの程度いるのか、極めて少数と言える。

こうした中で、マスコミ人として取材経験豊富な渡辺勝敏氏(読売新聞メディア局専門員)が、自らの経験、臨床現場、歯科医師への取材を通して「歯医者さんのかかり方」(中公新書クラレ=840円+税)としてまとめた。「むし歯」「歯周病」「入れ歯」「インプラント」「ブリッジ」などの臨床、さらに「歯医者はどう選ぶ」「子どもの歯は、社会で守れる」「歯磨で健康寿命を伸ばせるか」などの社会との関係する項目を列挙。個々に問題を指摘しており興味深い内容なっている。オクネットで一部項目を選択しポイント要旨を上げて進めていく。

それぞれの治療のポイントを指摘し説明を進めている。まず「むし歯」のポイント。詰め物・被せ物は、10年が寿命未満として紹介(北大の臼歯の寿命研究や岡大など自費のセラミックなどを含めた比較研究など)。これは、患者の素朴な疑問。また、コンポジットレジンについて、田上順次・元東医歯大教授から「この分野の研究は日本が世界をリード。MIという概念に沿うので、さらに応用が期待できる」としている。根幹治療にも宇井和夫・元日本歯内療法学会理事長の解説を報告。患者には無視できない料金・費用にも触れていたが、田上元教授は、大学退官前の講演では、“コンポジットレジン”をもう少し高く評価すべきと訴えていた。

続くは「入れ歯」。歯科界著名人歯科医師の村岡秀明氏やトップレベル歯科技工士の川島哲氏が臨床から報告している。患者からすれば、入れ歯がどうできるのかは正直知らない。シッカリ噛み切れ、食事ができる入れ歯ならOK。両氏の話を聞きながら、渡辺氏が歯科技工に関してページを割いているのに驚くが、入れ歯は型取り、噛み合わせ、調整が3要素と強調し理解を求めている。ただ、この分野でもCAD/CAMの影響が出てきていると指摘しながらも、川島氏は、「CAD/CAMが普及しオペレーターが出てきても、患者さんにピタッと合う入れ歯や被せ物を作るためには、歯科技工士が必要」としている。全国の臨床で扱う“保険の義歯”の評価について、言及していないのが残念。患者には、歯科医師・歯科技工士の作業工程・時間などの内部的事情は不明のままであるが、診療・製作者になる歯科医史・歯科技工士が相互に満足できる状況を必要のようだ。

2020年からスタートした日本歯科専門委機構の紹介。渡辺氏は「機構で“患者の歯科医選択の指標になる専門医を作る”のなら、わかりやすさが一番。“入れ歯専門医”“根の治療の専門医”と明確にしてもらった方が望ましいが、各学会の事情もあると思われるが、基本的には、そこは押さえての運営に期待する」と読者納得の指摘。この日本歯科専門委機構の問題は、開業歯科医には、理解については、これからとされている。

注目したのが「子どもの歯は、社会で守れる」。貴重な症例報告と理由を明確に紹介しており、やはり歯科界に一石を投じた事実である。「新潟県のこどもは、どうしてむし歯が少ないのか」との質問に、葭原明弘新潟大学歯学部教授が回答。「1970年、弥彦村・弥彦小学校で、“むし歯は、治療だけでは不十分、予防が大切”ということで、周1回、フッ素入り水でのうがいが始まりました」とその歴史的原点を説明。PTAの要望で保健室に附属歯科治療室が設置。フッ素洗口を行いながらの歯科教育、治療を展開することで、むし歯の減少に大きな成果を上げたとしている。フッ素のむし歯予防への効果が理解されてきており、1971年には、日本歯科医師会はフッ素利用の推奨の見解を出すようになった。当時は、まだフッ素入りの歯磨き剤がまだ使われてない頃で、その政策実施の決断は、歴史的と言える事業。反対論があつた社会的事情にも触れながら、フッ素の効果・安全性に歯科医師が丁寧に説明し回ったという歯科医師の職業意識があったことを示したことも付記している。

あとがきで、渡邉氏は、日本の歯科の現状の在り方も問題があると市債する発言している。「医学はサイエンスで世界共通。しかし、医療はその国の制度や文化が反映される。比較的安価な保険診療と自費診療が併存している歯科制度。日本の歯科医療の性格を表わしている。歯科医任せは禁物。自分の歯を守るには、歯科検診を含め、歯についての知識もって治療を受けてほしい」。新型コロナウイルス感染症問題もあり、歯科への関心が高くなりつつある中で、患者の意識知識が変化してくる契機になる時代かもしれない。省略した項目に関心を持った読者にお詫びするが、一読を推奨しておく。

  • 書評「歯医者さんのかかり方」:“患者視点”から歯科独自の問題も言及